展覧会のタイトルだけでは何だろうか?と思うが「こころの京都 百選」完成記念の特別展ということで、日本画の作家の目を通して描かれた「京都各地の風景百選」を楽しむことができる。
最初にプロローグとして、狩野派、四条派といった近世日本画からはじまり、明治、大正時代と作品が移りながら、京の風景、人物の中に作風や描写方法の変遷が分かる仕掛けになっている。
中でも円山四条派、野村文挙の「嵐山・高雄図屏風」は、右隻には緑の木々の中にあちらこちらに咲き乱れる桜の嵐山の風景、左隻には紅葉真っ盛りの高雄の風景が、金地の上に描かれ目をみはるばかりの存在感を放っている。
美人画のコーナーでは色々な舞妓さんに会えるのも楽しい。
昭和初期のころの作品以降は、軸から額にかわり、近世日本画の狩野派、四条派の緻密で繊細な写実さとはかけ離れ、洋画のような雰囲気の作品にかわっていく。生活様式の変化のせいだろうか。
「こころの京都百選」は、丹後、中丹、南丹、山城、京都へ作家がスケッチに出かけて行き、作品を制作したようだ。全ての画に作家のコメントが付いていて、一つ一つ読みながら鑑賞していくのも、楽しみ方の一つだろう。
この展覧会のもう一つの醍醐味?はミュージアムショップの絵葉書選びだ。「京都百選」の作品すべてが絵葉書で買えるようになっているので、どれを買うかで本当に悩んでしまう。もちろんプロローグの作家の作品の絵葉書もある。
「ミュージアムショップの絵葉書選びで盛り上がるのは、邪道だろうか?」などと考えるのもまた楽しい。
文責:虹のSIKA