このようにまとまった形で上村淳之さんの作品を観るのは、昨年の京都市美術館での個展以来と思います。
その時は、氏の愛鳥家としての造詣の深さ(確か今回と同じく描かれている鳥についての写真やキャプションが楽しい)と、花鳥画とはなんと美しくメルヘンチックなものだ、と思った記憶があります。
今回、氏の花鳥画以前の作品で「春沼」にはとても衝撃を受けました。
このようなバックのマチエールと今の花鳥画の象徴空間の差異?、鳥の描き方、同じ方が「純日本画的な花鳥画」へと発展された経過。その中で、「姉妹」のような人物画も描かれているのも拝見出来とても嬉しい!展示会でした。
また、会場最後のコーナーで流されていたDVDで、「写生をしてもすぐに作品にしない」「花鳥画の様式について技法を教えないでいてくれた先生・先輩のおかげで自分の今の花鳥画がある」と言っておられたことが印象的でした。
今回の展示で今までの松園・松篁さんの流れで純日本画な花鳥画と単純に思っていたのが、もっと深いものであることが感じられました。
もっとも、だからこそこのような花鳥画を描かれる方なのかもしれませんが…
昨年、今回と同じ方の展示を観る機会を得、展示主催者の意図はともかく?私としては京都という地に住んで身近にこのような展示が観られることは幸せなことだと帰途に着きました。
文責:笑吉