堂本印象美術館は、エントランスから作品を右手側に眺めながらスロープを上がり(回廊)、自然に一番奥のメイン展示室(本館二階展示室)に導かれるという独特の造りになっている。
リニューアルオープンということで、京都画壇で文化勲章を受けた十二人の作品が、春と秋、二回に分けて展示される。春展示の今回は、竹内栖鳳、小野竹喬、上村松篁、池田遥邨、秋野不矩、堂本印象の作品で、それぞれの個性が手に取るように感じられる。
本館二階展示室の一番奥の竹内栖鳳の作品二点は、金屏風に描かれた鷺、アジア象がとてもリアルだ。穏やかな川面に浮かぶ小舟に置かれたままの竹竿の櫂、その先に止まる一羽の白鷺、岸の柳に佇む二羽の白鷺、ゆったりこちらへ歩いてきている墨書きの象、猿を乗せて歩く横向きの像、墨の濃淡と筆跡が独特の世界を作っている。
この竹内栖鳳の作品を取り囲んでいるのが、淡い色彩と繊細な線描きの小野竹喬、花鳥画の上村松篁、風流で少しいたずらっぽい池田遥邨、インドの宗教や風土を描く秋野不矩の作品だ。彼らは竹内栖鳳の弟子や孫弟子で、西洋画の写実と日本画を融合した栖鳳の影響をうけている。それぞれの作風は違うのだが、原点が同じだからであろうか、同じ部屋に展示されていても全く違和感がない。
この、本館第二展示室の入口の右サイドには「窓」左サイドには「断定」と題する堂本印象の作品がある。入口に立つと、まるで印象の作品がホストになり、竹内栖鳳、小野竹喬、上村松篁、池田遥邨、秋野不矩たちの作品を自分のサロンに誘ったような感じがしてならない。
事実、堂本印象美術館で彼らの作品は再会したのである。
文責:虹のSIKA