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堂本印象の襖絵を寺院でみる(西芳寺)

投稿:2013年6月18日

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「苔寺へ行った。」と言う方が「ああそうか」とうなずく人が多いだろう。
正式には「西芳寺」世界文化遺産に登録されていて、特別名勝及び史跡である。

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寺伝によると、聖徳太子の別荘の地として開かれ、天平3年(731)聖武天皇の勅願で行基菩薩が開山したという。その後荒廃したが、鎌倉時代に再興された。しかし再び数度の戦火で衰退していたのを、暦応2年(1339)夢窓国師が中興し寺名を「西芳寺」と改め禅寺となった。この時、夢窓国師によって上下二段構えの庭が作庭された。上段は枯山水、下段は中央の心字型の池を巡る、庭全体に敷きつめられた苔で名高い池泉回遊式庭園である。
しかし応仁の乱で本堂が焼失。昭和44年5月、500年ぶりに悲願であった本堂、西来堂が完成した。この時納められたのが堂本印象の104面の襖絵である。

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話が長くなったが、私はその襖絵に魅かれて苔寺へ行ったのである。

苔寺の拝観には事前の申し込みと、拝観料が3000円かかる。しかし、これには本堂での「般若心経」の写経と庭園拝観がセットになっている。
堂本印象の襖絵に囲まれて写経し、その後庭園散策をゆったりできるなら決して高いものではない。

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当日、百人位いただろうか、外国人もいた。正座ができなければ本堂の廊下で椅子に座り筆ペンでの写経も可能だ。もちろん堂本印象の襖絵のある本堂の畳に座り、墨と筆で写経をするのがベストだ。最初にあるお坊様の読経も眼前で体験できる。

堂本印象の納めた襖絵は「遍界芳彩」「無機」「観義」「超玄」「普寧」「夢窓慈恵」「択音充光」等題がついている。
本堂の中央の両側の襖絵は「遍界芳彩」だと思われる。金色の襖面に7色の短冊が不思議な塊を作って飛んでいるようだった。その襖絵の左側の畳で写経をしたのだが、左の面は「無機」という題名の襖絵だ。白い襖に、極太の筆で力強く横と縦に墨書きがありそれにまとわり散る金色の筆跡と、入り込んだり飛び出たりしている墨の筆跡。
抽象的な世界が広がっていた。

仏教というどちらかと言うと伝統、しきたりみたいなものと、抽象的な絵画が不思議にマッチしていた。
寺院の襖絵は中国の山水画や狩野派の絵、琳派だの等伯だの既存の概念で見てしまっていたが、苔寺の襖絵を見て、この概念がふっ飛んで行った。狩野派でも琳派でも、その当時は斬新な新しい概念の襖絵だっただろう。

堂本印象はほかにも襖絵を描いて寺院に納めている。
納められた襖絵をたどって歩くのも楽しいのではないかと思った。

文責:虹のSIKA

西芳寺



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