「遊び」と題する今回の特別展観は、夏休みに向けたものとして小中学生向けのワークシートが用意されています。
展示室には、第一章~第九章まで、主に京都国立博物館が所蔵する多彩な美術品(江戸時代の屏風、掛け軸、漆器、小袖、人形などが多い)が数多く章立てで展示されています。
「誰誰の作品を鑑賞する」というよりも「民俗学や文化史を知る」という感じでしょうか。
「遊び」という大きなテーマの中で、最初は少し焦点がつかみにくいかもしれませんが、それぞれ独立した章のタイトルに従って観るとわかりやすいと思います。
そして、用意されているワークシートを広げて質問に答えながら回るのもお勧めです。質問を考えた展示品はきっと印象に残るでしょう。
では、私の印象に残った作品をいくつかあげてみましょう。
「天橋立 住吉大社遊楽図屏風」は、江戸時代の人々にとって、寺社参りや名所へ行くことが大きな楽しみだったことが、描かれている人々の様子でよくわかります。
「能面」は渋みのあるいかした男の面とキャプションにあったのでその気で見ました。
「小鼓・大鼓の胴」は皮を張った様子の写真が添えられていて、皮を張る前の様子を見るのも初めてでとても興味深いものでした。
桃山時代、江戸時代には、酒宴をしている様子の襖絵があることに驚きます。
どういった部屋の襖だったのでしょうか。
巨大な享保雛と五月人形に驚かされます。三歳児位の大きさはあります。
貝合わせの実物が展示されています。貝に細かい同じ絵が描いてありました。
「邸内遊楽図屏風」には貝合わせを楽しんでいる男女が描かれています。
長沢芦雪の「群猿・唐子図屏風」は三匹の猿が、芦雪独特のフワフワ感のある描写でユーモラスに描かれていて、唐子の連れている子犬もコロコロ感のあるかわいい子犬です。この屏風の前に一番長くいた気がします。
豊臣秀吉の子供、棄丸所用の玩具船。畳一畳はある大きさの船で、真ん中にのれるようになっています。
棄丸は病弱だったのでほとんど使ってないということがキャプションに書かれていました。棄丸は早くに亡くなっていて、乗って遊んだ船が今も残っていて、それを現代の私たちが見ているのです。
今回の展示は全てそれぞれの時代の人が実際に使ったものです。目で見る歴史だと言えるでしょう。
文責:虹のSIKA
特別展覧「遊び」