最終日午後、杉山寧没後20年展を観てきました。
杉山寧という画家の作品は、今年5月に泉屋博古館の特別展「住友グループ秘蔵名画展」で、「松」を見たのが初めてでした。戦後の日本画壇をリードした高名な方らしく、その時ご一緒したボランティアの方から色々伺っていたので、まさかこんなに早いタイミングでまとまった作品に出会えるなんて、と、楽しみにして行きました。
全体は6,7章にわかれ、おおきくは、年代順に構成されていました。
戦前のというか若いときの日本画らしい日本画(「椿と乙女」や絹本に描いた南天など)と、日本画の特徴的な線をみせないで描かれた戦後の作風に、同じ作家の作品か!と、おどろき、かつ感心しました。
でも、考えてみると、日本画の有名な他の作家さんも、例えば小倉遊亀や秋野不矩さんも初めは日本画らしい日本画を緻密に描かれ、その後、独特のその方らしい作風に発展しておられるのだから、杉山寧さんの画風の特徴が、ピラミッドの「悠」や馬と裸婦の「生」に発展したのかな?なんて、素人なりにいろいろ楽しみながら思いました。
すごい!と感心した2点目は、その完璧主義的なスケッチです。
日本画の絵具でなく、色鉛筆やグワッシュでえがかれたブロンズ彫刻の人物や動物の写生作品、仏像の写生作品など-作家の緻密な性格があふれていました。
作家自身が描いた自画像は、以外にあっさりした鉛筆画でした。
また、作品には、作家の思いがこもったらしい難しい一字の漢字のタイトルが多かったのが、印象に残りました。
チラシに「日本画を超えた日本画家」とあったことについては、ピンときませんでした。というのは、作品のマチエールはとても日本画的で素敵と思ったからです。色彩的にも日本画を感じました。ただ、チラシの最後に「杉山芸術の力強い歩みを振り返ることで、日本画の力を再認識されることでしょう。」と、あったので主催者の意図されることは、理解できたのでしょうか?!
没後20年展は、楽しい出会いでした。
文責:笑吉