江戸時代の人気浮世絵師、国貞、国芳、広重らの、夏をテーマにした涼しさ満点の展覧会が、約120点もの作品を一堂に会し、美術館「えき」KYOTOで8月15日~9月9日まで開催されている。
ポスターには、「ジェイアール京都伊勢丹7階隣接」と、場所が記してあるが、実際はデパ-ト(伊勢丹)の中にあるイメージだ。その為か、美術館の入り口は売り場から回り込んだ数メートル奥にある。私たちは、この数メートルを歩く間に、デパートという生活感あふれた現実的な空間からの脱却をするだろう。いや、そういう計算なのかもしれない。
入口までの壁に貼られた二枚のポスター。
水色の背景に、着物の裾を左手でたくし右足を水に浸して縁台に座る日本髪の女は、涼を得て一息ついているようだ。
ポスター効果で、私の気持ちは浮世絵の世界に入っていた。
展示作品で、圧倒的に多いのが「歌川」を姓に持つ絵師だ。国貞、国芳、広重もみな「歌川」である。
広重の描いた人物は、ほかの「歌川」の絵師とは華やかさを欠くが、冒頓な感じがある。どちらかと言うと、私は風景画の方が情緒があって好きだった。
一般的に「歌川」を姓に持つ絵師たちは、多色刷りで色も鮮やか、描かれる男も女も、色白、うりざね顔で、細く長い鼻、細く少し釣り上った目、かれらのポーズには粋な感じがよく出ていた、
動いた瞬間やポーズをとった瞬間を切り取ったように、生き生きと描かれていて、今にもしゃべりかけてきそうだ。
京では鴨川、四条河原、江戸では隅田川、両国の花火・・・江戸時代の人々は、涼を求めて夏の夜、続々と繰り出し、人々の集まるところには茶屋がならび、屋形船、屋根船、小舟など多種の船が繰り出し、両国橋は人で埋まり花火が上がり、浴衣や団扇、酒宴。
江戸の人々は、三百年続いた泰平の世を満喫したことだろう。
夏の一日、少し軽めの雑踏に入って出てきたような感じだった。
文責:虹のSIKA
浮世絵の夏 -納涼と花火- ~国貞、国芳、広重ら 人気絵師の競演~