チェコの女性アーティスト、クヴィエタ・パツォウスカーは「色彩の魔術師」と言われ85歳になる今でも赤、緑の鮮やかな色彩、紙を貼ったりつなげたりページを切り抜いたりと、自由な創造力で作品をつくり続けている。彼女は絵本作家の枠を超え、その作品は彼女が言う「わたしの作品は単なるストーリーを追うのではなく芸術である」ように、絵本の概念を超えている。
絵本の原画展へ行くのは初めてでした。クリスマスが近いとあって、京都駅の伊勢丹7Fにある「えき」美術館に向かう廊下の窓からは大きなクリスマスツリーが見え、展覧会場の入り口には、小さなツリーがありました。
会場に入ると、クレパスの箱か、色鉛筆の箱をひっくり返したような感じがしました。色々な色が使われているわけではないのですが、そんな感じです。特に赤色が目を引きます。これらの絵を見ていると、たとえば寒い冬に外へでられず、夜の長い季節を迎え、一日のほとんどを部屋で暮らさなくてはならなくても、明るい気持ちで暮らせるでしょう。
鳥の絵は、シャガールの絵の中に平気で入れそうでした。
彼女に描かれるサイや鳥の目が人間の目をしていたり、上下のまつげが巻き毛になっていたり、人間と動物を絵本の中で合体させているのかもしれません。
最後の方では、赤が一転し、黒が基調になった作品がありました
その後、最近人気の出ているチェコ絵本や作家の作品も楽しみました。けれども、クヴィエタ・パツォウスカーの作品の印象はやはり強烈でした。独特の赤色と、白い紙の上に自由に切って貼って、そして鉛筆で手や頭をじかに線書きしている原画は、すぐそこに
彼女の仕事ぶりを感じられるパワフルな作品でした。
赤色の余韻に浸りながら、ミュージアムショップでマスキングテープの「すずの兵隊」を買って帰りました。
文責:虹のSIKA