さすが、最終日目前の土曜日、移動もままならぬくらいの人、人であった。
京都に生まれ、幸野楳嶺に師事しながら鵺派と揶揄されるくらい流派を超え革新的な画風であったとされる竹内栖鳳(1864
1942)の代表的な作品、「絵になる最初」「アレ夕立に」や、山種美術館の「班猫」には,何度かお目にかかったことがありました。
が、代表作約110点,資料約60点を一堂にした記念展ということで、わくわくした気持ちと、さあ頑張って観るぞ!という意気込みで入場しました。
展示は、第一章 画家としての出発から、第四章 新天地を求めてまでの時代別に構成され、間には特集展示(1,美術染色の仕事、2,旅、3,水の写生)をはさみ、各章の特徴を紹介するという、解りやすい展示方法でした。
今回の時代ごとの模写、写生帖、素描の展示から、獅子・虎・鹿・象・のような大きな動物から猫・猿・兎・鳥などの小動物まで、その美しさというか本性が、感じられる絵の源をみせてもらったような気がしました。
多くの人の中、一巡してから、やはり2章の「獅子」「象図」、3章の「絵になる最初」、「班猫」、「船と鷗」(未完)をもう一度観て会場を出ました。
そして、同時開催の「下絵を読み解く」-竹内栖鳳の下絵と素描-の方に行きました。
こちらは本画になるまでの下絵作りの過程を4章(1絵を躍動させる要素、2巧みな構図づくり、3組み合わせの妙、4空間の広がり)で説明されており、最後に、5京都画壇と下絵、で、栖鳳の門人や京都画壇の画家たちの下絵と本画を並置してみせてくれるというものでした。
本画やスケッチ帖を見てからこちらにきたので。ますます日本画の製作過程での下絵つくりの重要性というか画家の対象へ向かう様子が伺えました。
栖鳳の下図と本画を対比してみられただけでなく、西村五雲、菊池契月、土田麦僊、中村大三郎などの見たことのある本画の下絵がみられたことや、特に図録でしか見たことのなかった林司馬の「舞妓」の下絵と本画がみられ嬉しかった。
大満足でした!
文責:笑吉