画面にいつも「二人」を感じる作品でした。彼女、彼の二人が描かれている時はもちろんですが、彼女だけ、彼だけの時も彼、彼女を感じることができます。全作品のほとんどが二人のポエムを感じる作品で、わたせせいぞうさんの人柄を感じました。
もちろん「アンを抱きしめて村岡花子物語」の作画にはアンと花子や家族が描かれていて、彼と彼女ではありませんが、それらの作品も信頼、愛にあふれた作品でした。
作品は作者そのものだといいます。わたせせいぞうさんは暖かい優しい人柄なのでしょう。作品展入り口にあった写真も優しいお顔をされていました。
日曜日だったせいもあったかもしれませんが、会場は多くの人であふれていました。入り口を入ったところもかなりの人でした。というのも、最初に「おとこの詩」という4ページ完結の漫画が並んでいるので、それを読んでいるので自然に人だまりができてしまうようでした。この作品はサラリーマンと漫画家の二足の草鞋を履いていた時代の1970年代後半の作品で、コミック誌「週刊TAIMES
に連載されたものです。白黒の画面が印象的でした。吹き出しは全て手書きでとても味のあるものです。その後、カラーの作品になりますが、以後、「週刊モーニング」に連載された「ハートカクテル」まで、4ページ完結の大人の漫画で、漫画でありながら小さなポエムだと思いました。
その後の作品は、CDジャケット、ポスター、雑誌の表紙などの作品で、吹き出しはありませんが「二人」をいつも感じることができます。アメリカンな感じの作品もあり、日本のバブル時代のラブストーリーを感じる作品もありました。
カレンダーを制作する工程も楽しむことができました。原案から作品になるまで細かい作業の連続で、花火の色にも細かく色番号がついていました。
6月7日、8日はサイン会がありました。その日に行けなかったのでお顔をみられなかったのが残念でした。
文責:虹のSIKA