千總ギャラリーの10月3日から始まった展覧会は、千總の着物づくりがテーマです。
ギャラリーに入ると、図案から始まり、白生地選び、白生地を借り仕立てしたものに下絵を藍で描き、それをほどいてそれぞれの部分の図案の色を決めていく工程がわかるように展示されていました。
私が行った10月4日は、15時から製作担当者によるギャラリートークがあり、工程の詳しい説明を聞くことができ、その仕事の大変さ、ち密さ、職人さんの技の素晴らしさがよくわかりました。
図案はパソコンのある今でも、手描きだそうです。パソコンにはできない手描きゆえの柔らかい線が求められるからだそうです。
図案は着物づくりの中で最も大切なところで、図案が決まってはじめて、生地、色、工程をどの様にするかが図案のイメージをもとに決められるそうです。図案が着ものづくりの全ての始まりだということなのでしょう。
千總には図案づくりに必要な約2万点の資料と、莫大な書物があるそうです。
今回、千總謹製の印がある素晴らしい着物も、振袖2点、付け下げ4点、留袖1点を見ることができました。製作担当者の方の説明があり、また、質問もできたのがラッキーでした。
友禅染では、色を染めることも大切だが、色を染めない部分も大切だということでした。色と色との間の糊の細い線、細い線を見せないようにするために蝋で交代で色が映らないように染めていった着物、ヨーロッパのタペストリーから選んだ図案で、宮殿の回廊と大輪の花をイメージしたような振袖、六歌仙の切紙をイメージした王朝風の付け下げなど、ため息の出るようなど素晴らしいものばかりでした。
中央には、図案を描いている様子がわかるように実際に使っている机や道具などが置かれていました。
机の上には、けん玉が2つあったので、不思議に思い尋ねましたら「最近けん玉が流行していて、けん玉に絵を描いてほしいと依頼があった」ということでした。私はてっきり、細かい仕事なので体や脳の疲れを取りリフレッシュするためかと思っていました。
尋ねてよかったです。
文責:虹のSIKA