「華麗なるジャポニスム展」は、京都市美術館で9月30日から11月30日まで開催されている展覧会です。
この展覧会のポスターは、見た人を展覧会に誘うに違いありません。事実、私もその一人だからです。
ポスターには「ラ・ジャポネーズ」と題したモネの絵が、全体に印刷されています。
絵の中心には、鮮やかな赤い打掛を羽織って横向きから少し振り返った金髪の女性が、扇子を開きこちらを見ています。扇子は赤、白、青のぼかしで、フランス国旗を思わせます。打掛には、今にも刀を抜きそうな武者絵が金糸で刺繍された烏帽子をかぶり、薄いブルーの着物で腕をむき出しにして、打掛の腰から下に刺繍されています。太い眉と烏帽子からはみ出した髪は、真っ黒です。打掛の上半身部分と袖には、緑と金糸でもみじの葉がダイナミックに刺繍されています。女性の後ろの少し色褪せたようなブルーの壁には、13枚のうちわが散りばめられています。
この絵は一年をかけて修復されて、日本のやってきたということでした。
展覧会で見た「ラ・ジャポネーズ」は、等身大の女性の姿が描かれていて、思ったよりも大きく、漆の黒い額縁の絵の前には、私が行った時、1,5メートルくらいの距離から離れたところでみんなが見ていて、誰もそれ以上近づこうとしませんでした。
近くで見たかった私でしたが、その空気の中では、近づけませんでした。けれども、しばらくして、その空気を打ち破り近寄って行った男の人がいたおかげで、近寄りがたい空気の隙間ができて、私も近づいてみることができました。
近くで見ると、金糸の刺繍が、まるで本物のように描かれていて驚きました。
ジャポニズムがヨーロッパで流行した19世紀から20世紀にかけての油絵のみならず、今回のボストン美術館展には、海を渡った日本美術品、特に浮世絵を楽しむことができました。ボストン美術館は、海外の美術館で最も多く日本美術品を持っているそうです。広重の東海道五十三次も多く収集されているようでした。
モネ、ゴッホ、マチスら、多くの西洋画家に愛されたジャポニズム、アンシンメトリーや木立の間に見える構図、橋げたを異様に画面に大きく描くという構図などに、彼らは驚き新鮮さを感じたといいます。
けれども、日本人の私にとっては、それらの構図もアンシンメトリーも体の中にあるので、そんなに新鮮さや面白さはわからないと、絵のキャプションを読みながら思いました。
ミュージアムショップで買って帰ったはがきが、すべて浮世絵だったことに、少し苦笑してしまいました。
文責:虹のSIKA