以前、美術館「えき」で、「浮世絵の夏-納涼と花火-」を観ておもしろかったので、チラシの「奇想天外」に惹かれ、観に行ってきました。
浮世絵といえば、役者絵、美人画、広重や北斎の風景画のようなものを思い浮かべていました。が、前半はともかく後半になると国芳ワールドという世界に引き込まれていきました。
「人かたまつて人になる」という題名のちょんまげの男性の横顔の着流し姿!! びっくりです! 顔は黒褌の男性数人がアクロバットのように丸まったりつながったりして構成されている。眉、目、髷は黒褌です。思わず「へぇー」と、そして、耳は?目は? ほんとおもしろい! 奇想天外がぴったりです。
「年が寄っても若い人だ」―こちらは、顔は、戌の背中?、髷は鶏、羊、馬、鼻は兎、目は鼠、口は蛇、おでこに龍、等、十二支でちりばめられている。
「宮本武蔵と巨鯨」―すごい迫力のある絵です。武藏の強さを強調しているのか、巨鯨に見立てた何かを退治してほしい? いや血なまぐさい果たし合いより鯨を捕って社会貢献してほしい?という風刺画なのでしょうか。
鯉、亀、猫など動物の擬人化したのもおもしろい。現存している擬人化された絵画の最初は鳥獣戯画?、国芳は見たのかしら?など無知な私も色々思いながらとりあえずおもしろい!
後ろ向きの自画像に、好きだった?猫と妖怪模様の着物というのもあり、しゃれっ気と風刺を表現するのが好きだったらしいのが伺え、いろいろ楽しめました。
浮世絵の題材の幅広さと、国芳という絵師の表現力の確かさと、現在のカーツン漫画のような表現に、当時の庶民に人気だった国芳という浮世絵師の魅力が、妖怪や骸骨は好きでない私にも、十分楽しめる奇想天外でした。
さて、前回も書きしましたが、浮世絵に興味をお持ちの方にぜひご紹介したいのが、京都造形芸術大学にある「芸術館」です。大学の前身京都芸術短期大学第二学長大江直吉氏が寄贈された、豊原国周、月岡芳年、尾形月耕などの作品を、コレクション展開催時に無料でご覧になれます。芸術館には、その他に縄文土器作品群(宗左近寄贈)、シルクロード資料(江上波夫寄贈)のコレクションがあり、年に数回、順次展示されています。日程は、芸術館ホームページをご覧になればわかります。
文責:笑吉