12月5日から京都造形芸術大学内にある劇場「春秋座」で『猿之助への軌跡』展がスタートしました。
2012年6月に二代目市川亀治郎を改め四代目を襲名した市川猿之助丈。
2013年5月には三代目の跡を継ぎ、春秋座の芸術監督に就任。
春秋座は亀治郎時代からこけら落とし公演出演をはじめ、自身の舞踊会も開催するなどゆかりの深い劇場。
開催初日の5日にはオープニングセレモニーとして、猿之助丈本人が来場ということで、襲名を機に改めてファンになった私ももれなく劇場へ行ってまいりました。
午前10時。
猿之助丈の開場挨拶で気分が高揚したまま、展示会場へ入場。
今回の展覧会では二代目亀治郎時代を経て四代目襲名に至るまでの舞台写真を中心にその足跡を辿るというもので、特に、春秋座での舞踊公演でのようすに重きがおかれています。
また、場内では45分のドキュメンタリー映像『KABUKU』も上映。
これは澤瀉屋(猿之助の屋号)のいわば定番の芝居『義経千本桜』の狐忠信という役を亀治郎が初めて演じた時を追った映像で、澤瀉屋の歴史から始まり、芝居の大きな見せ場「四ノ切」の稽古風景から本番の舞台裏すべてを映し出してくれています。
写真と映像を見て改めて感じたのは
「亀治郎は今、猿之助になっていっている真っ只中にいる」
ということです。
市川亀治郎という役者がいたことは前々から知っていましたし、舞台も観たことはあります。
若々しい、華のある役者さんやな、くらいにしか思っていませんでした。
そんな軽い気持ちが一変したのが昨年、新橋演舞場での襲名披露公演。
口上を述べる姿、化粧をして芝居をする姿、口跡…そこに「猿之助」という役者がはっきりと存在していたのです。
三代目猿之助とは甥と伯父の関係、血が繋がっていますから姿が似ているのは自然なこと。
しかし、私が感じたのはそれ以上のもの-江戸歌舞伎の復活など古典を大事に演じながらも、常に現代の観客にも興奮と感動を与え続けることを目指して邁進し続けてきた代々の「猿之助」の気概のようなものでした。
そして、なんといっても若さです。
私が三代目猿之助を知ったのは彼が50代の時。役者としてはまだまだ盛りの時期で、毎回舞台を観る度に伝わってくる「力」に圧倒されていたものですが、当代は30代。
抑えきれない若さが舞台上で静かに爆発しているかのような印象を受けました。
「三代目も若い頃はこうだったんだろうなぁ…!!
四代目に三代目の姿が脳裏でかぶったのです。
三代目のパワフルさと、四代目のそれはまた少し違う印象ではあるのですが。
それでも、きっと年を重ねるごとに二人の「猿之助」がより融け合っていくように見えることでしょう。
ドキュメンタリー映像中でも紹介がありましたが、先代猿之助による『千本桜』狐忠信の宙乗り(舞台から花道に進み、ワイヤーに吊り上げられて空中に浮き上がり、客席を見下ろしながら三階席上のゴンドラまで飛んで行く)のシーンをみた幼少の頃の当代はこう言ったそうです。
「僕もいつか、ああなるの」
この展覧会では襲名までの「軌跡」を見、これからさらに猿之助となっていく道程を目の当たりにできる期待で胸をいっぱいにして、会場を後にすることができました。
これから南座顔見世興行にも行って、さらに猿之助を満喫してきます!
今回のレポートは私自身が大好きな役者さんということで、とても主観的なものになってしまいました(;´∀`)
最後にひと言フォロー…
躍動感溢れる写真展示、舞踊公演ダイジェスト映像、歌舞伎の舞台の仕組みや見所も紹介してくれている『KABUKU』は「いきなり劇場に観に行くのは気が引ける…」と思っている方にぴったりなプレ歌舞伎体験になると思います!
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四代目市川猿之助襲名記念 京都芸術劇場 春秋座 芸術監督就任記念
「猿之助への軌跡展」
2013年12月5日~23日
http://www.k-pac.org/performance/20131205.html
お出かけをするのが好きです。文章を書くことが好きです。 お稽古事で観世流仕舞を習っています。 京都在住15年目、2013年9月から市内でシェアハウス生活を始めました。 (旧PN あんこ) 「私の目で見る京都」をお伝えしていけたら、と思います。