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ナツヤスミは終わらせない(劇団「サイハテ」公演『ナツヤスミ語辞典』)

投稿:2014年9月22日

8月30日・31日に京都市東山青少年活動センター創作活動室で劇団サイハテを観てきました。
春から約4か月間で開催されていた初心者対象の演劇ワークショップ「演劇ビギナーズユニット」の修了公演です。

上演戯曲は劇団キャラメルボックスの成井豊さんが27歳の時に書かれた『ナツヤスミ語辞典』。
小劇場系の観劇が好きな人なら、もしくは演劇部だった人なら絶対と言っていいくらいの確率で耳にしたことのあるタイトルだと思います。(少なくとも私にとってはいたる所で目にしてきたタイトルでした)

とは言え、キャラメルボックスも、この芝居も実際に見たことはありません。
それでもタイトルを聞いて(本当に失礼ながら)「あ、みんながよく演るやつや」というくらいには知っていました。

今回はワークショップ制作の方からのお誘いがあったから観に行ったというのが正直なところ。
実は私も過去にこのワークショップを受講し、公演に出演した、いわばOGです。
もう9年も前の事。
いま現在は演劇に携わることもほぼなくなり、ぼんやりと「いつかまた舞台にあがれたら楽しいだろうなあ」なんて考えながらごく平凡なサラリーマン生活を送っています。
だから余計に「あの頃」の自分を懐かしんでしまいそうな気がして、修了公演からは足が遠のいていた数年間でした。

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―作品のあらすじ―
カブト、ヤンマ、アゲハという3人の中学2年生がむかえたひと夏の物語。  
仲間のひとりのヤンマが水泳の補習をいやがり、プールの水を抜いてしまったことがバレて、3人は先生からプール掃除を命じられる。
そこへ、白い服を着た男・ウラシマが現われ、不可解な発言を繰り返す。
不審に思ったカブトが母から借りてきた古いカメラで写真を撮りまくる。  
しかし翌日現像してみると、そこに写っていたのは……なんと学校のプールができる前の、15年前の景色だった。そこから少女たちの幽霊探しがはじまる。
ウラシマとは誰なのか。写真は何を写し出すものなのか。
そして「ナツヤスミ」とは何なのか。



「あの頃」は人それぞれ、いろいろなものがあると思います。
そして、人はそのいろいろを少しずつ諦めてオトナになっていく。
そんな切ない気持ちを思い出してノスタルジーに浸る…そんなベタなんおもろないわ!
ってナメた気持ちで行ったら、終演後は見事に涙ぐんで自転車を漕いで帰るハメに。

今回のワークショップ参加者は大学生、さらに女子が多かったとのことでこの戯曲になったらしいのですが初心者だからこその初々しさと、彼女たち自身の若さぴったり!ハマっていました。
公演アンケートにも書いてきたのですが、いちばんの感想は「何このアイドル演劇?!」。
演技がオーバーだとか、台詞がぎこちないだとか、そういうレベルのことじゃない。
今しかできないことを全力でやる彼女たちそれぞれの存在感に、見ているこちらも気持ちを重ねて笑顔になったり涙を流すことができる。
その生命力と、戯曲のもつ色褪せない生命力が素敵な具合にリンクしていたし、この手の芝居ってもっと「クサく」なるものだと思うのだけど、そういった押しつけがましさも感じさせられない1時間45分でした!

演出の村上慎太郎くん(夕暮れ社弱男ユニット代表:http://yuuguresya.com/)も若いからだろうか。村上くんはアイドル、好きなのだろうか。
村上くんのことは電視游戲科学館公演、ベビーピー公演で役者として見たきりだったので、この秋の弱男ユニット公演には是非行ってみたいと思いました。

今回の公演からのメッセージ―
「終わらないかもしれないものを、自分の手で終わらせちゃいけない」
 



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