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木村直人「変異」(KYOTO GRAPHIE「KG+」)

投稿:2013年6月 3日

先月開催されたKYOTO GRAPHIEの関連で開催された、木村直人さんの写真展「変異」を、見てきました。

部屋には私しかおらず、私と作品の中の彼女と二人で居るようでした。

彼女の身体は、徐々に変異していきました。 同じ女性として、身体の変異していく様は、心が落ち着きません。
しかし、彼女から可哀想、悲しい、苦しい、そういった悲観的なものより、むしろ強さを感じました。

その中でも、特に二枚の作品が印象的でし た。

一枚は、彼女が、黒く変色している胸を見せつけるように、両腕は頭の後ろに組み、身体を少し斜め正面に、瞳はカメラを見下ろしています。
髪の毛の無い裸体の彼女は、まるで陶器でできた人形のように見えました。細い身体は、もろく、触れると壊れてしまいそうなのに、彼女の瞳は強く、芯が通っていて、弱さを感じさせない。でも「無機質」という言葉が思い浮かぶほど、前向きな強さ・芯ではなく、シンプルにただ、強く芯が通っている。機械のような。冷たさも、暖かさもない、温度を感じないのです。ただ、凛とそこに立っているのです。その姿が、とても美しいと思いました。
目が放せませんでした。どれくらい、彼女と視線を交わしていたのか、息を止めて見ていました。

もう一枚は、所々、髪の毛が薄く残っている彼女が、顔は横を向きカメラに背中を向けています。
一枚目とは対照的で、人間味、隙を感じました。肩甲骨の間に手のひらを、つけたくなりました。温度が、伝わってきそうな気がして。 背中からは、無機質な強さではなく、強いけど、もろそうな、人間らしい、危なっかしい強さを感じました。

作品は、全て同じシチュエーション、同じ彼女ですが、一つ一つの作品の表情が違い、惹きこまれる写真展でした。


木村直人展「変異(Metamorphose)」(ギャラリーマロニエ)



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