クロード・モネ 《睡蓮》1907年 アサヒビール大山崎山荘美術館蔵
モネの絵が好きだ。
でも少し前まで、あまり好きではなかった。
《睡蓮》という名前の絵ばかりたくさんあって、どれも荒々しいのにぼんやりしていて、くすんだような色合いで、どう受け止めたらいいのかが分からなかった。
美術について勉強するようになって、絵に対する印象が最も変わったのがモネの《睡蓮》だった。
モネは、目の前にある景色そのままをキャンバスに描こうとした。
睡蓮の花だけではなく、眩しくきらめいた光も、水面を撫でた風も、そのまま。
《睡蓮》がぼんやりしているのは、水に浮かんだ睡蓮だけでなく、その周りの水面も描いているからだ。
池の周りに生えている木々が映る水面を、睡蓮と同じように描いたからだ。
風が吹いて揺らめく、光が反射して揺らめく水面を描いた。
画面が荒々しくぼんやりと見えるのは、残像までも描かれているからだ。
モネ、一生懸命だな。必死に絵を描いているんだな。
《睡蓮》を見るとそう思うようになった。
一生懸命頑張っている人を見ると、元気づけられる。
だから、いつでも《睡蓮》を見ることができる大山崎山荘美術館は、私にとって元気になれる美術館だ。
アサヒビール大山崎山荘美術館
※ モネの《睡蓮》は主に新館にて展示されています