mintdesigns/勝井北斗+八木奈央 《アーカイブスドレス》 2012年 © mintdesigns
デザイナーであるコシノ三姉妹の母をモデルにしたドラマで、少女の頃のヒロインが目を輝かせていた。
ダンスパーティーで西洋人が着るドレスを初めて見て、
「きれが、ひらひらすんねんで!」
というようなことを言っていたように思う。
きれが「ドレスなるもの」になり、人の動きに合わせて空気をはらむ。ひらひらと揺れる。
考えてみたら、着物にはない特徴だ。
今回の展覧会では、日本人デザイナーにより生み出された洋服が多数展示されていた。
子供の頃にはまだ着物が一般的だったであろうデザイナーの服、ずっと洋服で育ったであろうデザイナーの服。
どの服も、洋服への憧れから生み出されているような気がした。
洋服への憧れはどの年代のデザイナーにも、それを観る私にも、あるように思えた。
あのドラマの少女と同じように、単なる布であったものが様々な形、色、風合いになることに驚く。
その可能性を持ち続ける洋服というものに対する憧れだ。
黒のグラデーションには、水墨画を連想した。
布地が折り重なったデザインには、着物の影響を感じた。
幾何学的な立体構造には、折り紙と似ているように思えた。
日本人が考えたからこそ生まれたデザインが、きっとある。
大阪は食い倒れ、京都は着倒れ。
本当に着倒れてしまった人たちの写真の展示もあった(都築響一による《着倒れ方丈記》)。
この人たちもカッコいい、と思いはしたが、私は、憧れるのもほどほどにしておこうと心に決めた。