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ヨハネス・フェルメール《天文学者》1668年
Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF – DNPartcom
去年のいまごろ、私は何をしていただろうか。
どんな曲が、どんな映画がヒットしていただろうか。
日常はいつもあっという間に過ぎ去り、どこかに溶けてなくなってしまう。
風俗画には市井の人々の日常が描かれる。
聖人も英雄もいない。歴史的な事件も起こらない。
この展覧会では、風俗画をたくさん見ることができる。
しかしそれは、現在の「スナップショット」とは異なるものだ。
現在の私たちは、何かを感じた瞬間を手近にあるカメラで撮影する。
瞬間を瞬間でつかまえる。
今回展示されている風俗画は違う。
同時代の他の絵画と同じく筆跡が残らないように、丁寧に丁寧に描かれている。
画家は長い時間をかけて、瞬間を描く。
だからこそ、画家の想いや考えが込められているのではないか。
労働者のたくましい肉体。
貧しい少年の柔らかな肌。
身支度する女性の艶やかな後ろ姿。
風俗画に描かれた人々の姿は、画家の目と心を通して何かを伝える。
日常は失われることなく、今に届けられる。
展覧会の最後の作品は、そんな絵を描いたかもしれない画家たちの姿を描いた作品だ。
ルーブル美術館で模写をし、腕を磨く画家たち。
今も変わらず繰り返されている日常の風景だ。
彼らが絵を描いてくれたこと、その営みが今も続いているおかげで、知ることができるもの。
流行、日々の暮らし。今とは違うこと、今も変わらないこと。
そして画家が考えていたこと。伝えたかったこと。
感動、憧れ、怒り、皮肉、警告。
画家の伝言を探しながら、風俗画を眺めるのも楽しい。
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