京都の夏の風物詩のひとつ、8月16日に執り行われた五山送り火を見に行った。
京都市内のいたるところに見物スポットがあるが、今年は大文字をみるべく、出町橋たもとに場所をとっての見物。鴨川の西側からは大文字がとてもよく見える。大文字の点火は八時だが、七時を回る前から大勢の人が詰め掛け、普段の鴨川の穏やかな景色からは想像がつかないほどの人込み。
当日午後に一度行って場所を確保し、七時前まで近くの喫茶店でゆっくりとお茶を楽しみ、七時頃から見物場所で点火を待つ、というのが理想の流れだ。今回は幸運にも写真家の友人が早めに場所取りをするというのに便乗して、ついでに見物場所もキープしていただいた。その後安心して休憩に入った喫茶店は、川端今出川通にある『SECOND HOUSE 出町店』。大通りの喧騒が嘘のような、店内に入った途端に静かで落ち着いた空間がそこにある。学生がひとりで入ってレポートを作成するにはもってこいのお店だ。幸運にも六時前に入った時点では込み始める前だったようで、店内は空いていた。送り火の日の穴場スポットだ。
今年の送り火は点火前に黙祷の時間がもたれたことで点火に数分の遅れがあったが、今か今かと待ちわびる私たちに、いっせいに点火され厳かに輝き始めた大の字は一瞬にして感動を与えてくれた。炎の輝きは消して派手ではないが、炎の揺らめきには確かな存在感があり、見ごたえがある。点火の瞬間、その場にいた誰もが感動の声を漏らしていた。
炎は20~30分ほど燃え続け、徐々に消えてゆく。集まった人たちも炎が消えるのと共に徐々にはけてゆくのかと思いきや、実際には点火5分後くらいから早くも動き出す。「あー、今年も見た見た」といった安堵の雰囲気をまとって人の波が動き出す。20分間はみな足を止めてじっくり見るものだと思っていたが違っていた。そのせっかちさにちょっと笑える。
鎮火後もムードを楽しもうと写真を撮るなどし、その後帰路につく。
一年に一度は浴衣を着たい為、今回は浴衣で行ったのだが、とても暑く苦しく、動きにくいのだ。見物中は是非ゆっくり座ってみるためにも、この日は浴衣を着ずに動きやすい格好で行かれることをオススメする。そして、京都市内には五山を見物できるポイントが多数あるので、毎年ひとつづつそれらを巡って行くのも楽しそう。
文責:azuki 編集:京都で遊ぼうART