石版画集「エドガー・ポーに」より
1.眼は奇妙な気球のように無限に向かう(1882)(岐阜県美術館蔵)
「眼をとじて」(1900以降)(岐阜県美術館蔵)
美術館「えき」KYOTOで「ルドンとその周辺ー夢見る世紀末展」を見た。
岐阜県美術館の改修に際し、館が所蔵するオディロン・ルドンとその周辺の19紀末ヨーロッパ象徴主義コレクションを集めた巡回展である。
ルドンと聞いて思い浮かぶのは、気味の悪い「笑う蜘蛛」や植物の先が、人の頭部や巨大な目玉の気球にぶら下がった顔などのシリーズ。
これらは黒の作品群である。
水木しげるの目玉おやじは、ルドンの影響があるという。
ボルドーのブルジョア家庭に生まれたルドンは病弱だった為、親戚関係の荘園に預けられた。
幼年期の孤独な環境が、幻想的な作品を生んだという説がある。
次期は風景や花、女性や物語世界を描いたパステル系の色彩が出てくる。
社会的地位や妻も得て、落ち着いた生活の頃である。
美しい中にもはかなげな印象を受ける。
19世紀末象徴主義世代のボードレールやエドガー・アラン・ポーなど異端に属する作家達に受け入れられたルドンである。
以前ユイスマンスの「さかしま」を買ったのも、挿絵に惹きつけられたからだ。
その時には、これがルドンの絵だとは知らなかったが。
どうも、私は「はみ出しもの」に心惹かれる性分のようだ。
文責:chakotako 編集:京都で遊ぼうART
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