エッフェル塔のペンキ工、パリ 1953年
マルク・リブーが写真家集団「マグナム」に参加するきっかけとなったのは、「エッフェル塔のペンキ工」である。
敬愛するアンリ・カルティエ・ブレッソンに薦められたライカを携え、エッフェル塔へと登った。
1953年、パリに出てきてまもない30歳の頃に撮影したものだ。
それから現在に至るまで、フォトジャーナリストとして世界を旅し、歴史のうねりの中に身を置いてきた。
今回、何必館では、1951年から2003年までのオリジナルプリント60点を見ることができる。
「眼の楽しみのために」と題したマルクの文がある。
孤独にさまよいながら、眼はいつも油断なく見開かれている。・・・・
よく疑問がつきまとうが、音楽家が鼻歌を歌うように、私は写真を撮る。
見ることは息をするようなものだ・・・だからこそ、申し分ない写真のつきが私に転がり込む時、喜びは必ずや遠くない。
孔雀、ラージャスタン、インド 1956年
写真を見ること・撮ることを、大切な部分とする私にとって、この言葉が実感として響く。
この時、この光景は二度とない。
それを留めておきたいと願いながらシャッターを切る。
それが彼の言う「眼の楽しみ」だろうか。