高橋由一 「鮭 」 重要文化財 明治10年頃 (東京芸術大学)
教科書に載っている由一の鮭。日本一有名な鮭。
ついに京都にやってきた、これが本物!
高橋由一「丁髷姿の自画像」 慶応2~3年頃(1866~67) (笠間日動美術館)
日本近代洋画の父と言われる彼は、江戸に生まれた。
洋画を見て衝撃を受けたが習うすべがなく、在住外国人に頼み込んだ。
留学経験もなく、ひたすら自身で探求した結果、日本的写実として結実した。
それは(和製油画)と称される。
いかにして対象の質感に迫れるか、洋画を日本に普及させるかという使命感を持った人であった。
この探究心、ひたむきさは、武士の血なのであろうか。
鮭に感慨はあったが、私が最も魅力を感じたのは「豆腐」である。
又、東北風景画や石版画帖など、あまり知られていない作品や影響を受けた浮世絵など、盛り沢山の内容。
見応えたっぷりだ。
高橋由一「山形新道石版画帳」 明治17年頃(1884) (那須野が原博物館)
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田村宗立 「洋童図」 1890年 (京都近代美術館)
由一の展覧会に合わせて、(京の由一)と言われる田村宗立の作品展も開催中だ。
コレクションギャラリー小企画として。
由一より18歳ほど下で、京都で同じような活動をした人らしい。
西洋絵画に興味を持った彼は、中学で英語を修めた後病院に勤め、そこでドイツ人教師に油絵を習った。
由一が入門していたワーグマンを横浜に訪ね、彼らとも交流したという。
「洋童図」が目に飛び込んできた。
現代のイラストのようにも思える。
由一とはまったく違う作風だ。
しかし、洋画だけでは生活に支障があり、毛筆画に戻ったようだ。
近代都市に向かう時代の京都。 宗立という人がいた軌跡を、垣間見ることができた。