「冬の散歩道」(2012)
上野憲男は、これまでブルーを基調とする作風から「青の画家」と称されてきた。
今回で三回目となる何必館での個展。
2009年から2013年までの新作、これまでとは又違った境地を開いたようだ。
「草原の呼吸)(2012)
図録では、氏の言葉や散文が紹介されている。
それらは作品に対する理解を深めると同時に、アーティストが抱える普遍性も読み取れる。
編集者が作家の内在する才能を開花させるように、アーティストもキュレーターに方向性を導かれることがあるだろう。
何必館での出会いを、彼はこう書く。
「私の乾いて潤いを失いかけたものが、しなやかさを取り戻したのは、バックアップ、アシストの賜物であると思う」
UENO NORIO BOXシリーズより「東からの風を受けて」(2010)
「UENO NORIO BOXシリーズ」は、約20センチの黒い立方体に水彩で描いた81点を壁面に並べたものである。
日記を書くように描いた作品。
さりげなく実験ができ、予期せぬ楽しみがあったという。
UENO NORIO BOXシリーズより「真上の月」(2010)
人は何歳になっても新しい発見ができると、あらためて思う。
あさき夢みし 上野憲男展