武田梨沙:neither truth nor fiction(Gallery PARC):3/29~4/10
「melting form」(2011/絹糸、PP紐、針金、顔料)
© Risa-Takeda
昨年2010年の初個展(立体ギャラリー射手座)での、一点ものならではの濃厚でダイナミックな印象は未だに新鮮だ。
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昨年の個展のルポはこちら)
前回のホワイトキューブでの展示から、
今回のビルの2階に新たにオープンした、街中の人の流れや季節感が手に取るように実感できるスペースへと所を変えても
武田さんの"どっしりとした力強い創意"はゆるぎなく、
さらに作品は、ひと目見てカッコ良く(俗っぽい言い方ですいません)なったなぁと思った。
まずここのシチュエーションを存分に活かした展示。
素材は荷造りに誰もが使ったことがあるPPと呼ばれるポリプロピレンの紐。
これを紐と呼ぶのは結ぶためにあるからでこれは作品の"成分"に過ぎないはずなのだが、
得てして奇異な成分を活かしきれず生煮えのような作品もあることはある。
例えて言えば、素材力が強過ぎたり、素材のアクにかぶれてしまったり...
観客が想像だにしない結果が何の変哲もない素材から放たれる時の感動は格別だ。
このPPの光沢は照明を意識させるに充分な特性を備えている。
その持ち味とも言える味わいが織られていく時、
武田さんは確実にオリジナリティをモノにした実感を得たはずだ。
言うところの「新たな質感」。
正に丹念の精華と言えるフォルムがここにある。
さばかれる前に顔料が吹き付けられたPPは毛管現象による多少のバラツキを効果的に表す。
壁にかけられた作品の威容さは前にも増して迫ってくるようだ。
僕には"上品なデカダン"に見える瞬間。
会場のしつらえからか、今回は不思議と作品に"和"のテイストを見る。
床から、やがて畳敷の小上がりのようなスペースへとうねる作品。
どことなく連獅子の髪のようでもあり、湧き立つ水しぶきのようにも見える。
木綿と絹糸が文字通りクロスオーバーする織物は、脱色剤によって異なる反応をそのまま作品にした。
これなどは材質そのものを"風情"へと深化させる作家の手腕と探究心の所産だ。
織られることによる糸の"曲がった姿勢"そのものを抽出してみせる新作。
引き算がこうしてかけ算に変容する。
研究生である現在の武田さんの"豊かな表情の創出"に賭ける熱意が、この先、どう形づくられるのか。
とても楽しみである。
文責:den 編集:京都で遊ぼうART
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