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食べ物で遊んではダメ、って言われました?...「sweet memory おとぎ話の王子でも」展(京都芸術センター)(3)

投稿:2011年8月 5日

 

sweetmemory2.jpg
河地貢士≪Embalming~Potato Chips~≫ 2009年(ポテトチップス、漆、真鍮)

 

さて京都芸術センターの夏休み企画の3人目は河地さん。
区別はないのだが、やはりアプローチの仕方は男性ならではのものに思える。
甘いもの好きな女子と、ジャンクが大好きな男子。

思いを形に…なんていうとどこかのショルダーフレーズみたいだが
これほどまでに外連味(けれんみなくスタイリッシュに示せるのは
河地さんの持つ強力なプレゼン力ゆえではなかろうか。
ツボを押さえる術を熟知し、落としどころをわきまえている、そんな感じにさえ思える。

ユルいのに、ユルくない。
妥協は見えない。プロの仕業。

台の上にベビースターラーメンの破片(というか元々破片か)をくねくねと連続させた作品。
ピンセットとベビースターがあれば誰だってこうしたくなる!という衝動(と呼ぶには訥々としているが…)が見事にここに表されている。
作品として提示されたそれはまた、
ベビースターラーメンとは何ぞや?という存在の再認識さえ促す。

「うまい棒」がある。
もはやオーソリティが堂々と闊歩するまでに浸透したジャンク王の表面にはまだ何も彫られてはいない。
これからだろうか…。
河地さんの作品である「うまい仏」はうまい棒に円空仏を彫ったものだ。

ポテチもまた今や「料理」の具材としての地位さえ確立しているエリートジャンクであり、アイコンだ。
今回は展示されていないが、
各種の袋の中から一番大きなポテチを選んで魚拓ならぬポテ拓をとった作品は
記録や標本といったところから調査や統計的な領域までそのニュアンスを広げる。

「Fragile × Fragile」はポテチに無数の穴を開けた作品。
やがて形を失っていくであろうこれらに
特別なエンバーミングを経て、さらにポテチ然となる。

割れたポテチに施された「金つくろい」。
陶器の修理のためのこの手法をそのままスライドしてくる大胆さ。
漆の台に腫れ物のように置かれたポテチの何と崇高なことよ。

河地さんのサイトを覗く。
(河地 貢士 公式Webサイト http://www.koshikawachi.com/

驚きの発想はとどまるところを知らない。
漫画本を立てて、苗床にして野菜を育てる「まんが農場」や先の「うまい仏」は国内外のメディアに取り上げられている。
そしてそのプレゼンの密度の濃さはやはり書籍や広告などで培ったものだということがよくわかる。

見せ方を熟知されている。
今回の展示の中でもいろいろな意味で「強者」である。

文責:den 編集:京都で遊ぼうART

ケーキと権威...「sweet memory―おとぎ話の王子でも 」展(1)

涙腺の共感を琥珀に閉じ込める...「sweet memory おとぎ話の王子でも 」展(京都芸術センター)(2)

denさんのブログへ
 

関連リンク

夏休み企画 「Sweet Memory ― おとぎ話の王子でも」
京都芸術センター

河地 貢士 公式Webサイト:http://www.koshikawachi.com/



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