2011年08月27日、この展覧会が終了する前日、鑑賞してきました。
面白かった。こんなに微笑ましい展覧会は滅多に無いと思います。
京都国立博物館12,000件を越える収蔵品から選ばれた117点の動物の展覧会、その中から…。
愚庵の葡萄図、美味しそうな葡萄でした。曽我簫白も同じ構図の葡萄図を描いていますが、個人的には愚庵のこの作品の方が好です。葡萄の下に描かれているカマキリもいい。
長沢芦雪、「朝顔に蛙図襖」。
数枚の襖を横切って端から端まで伸びる朝顔の蔓が印象的。その蔓の下に蛙が愛らしく描かれていました。
長沢芦雪、「蚤図扇面」。
嫌われ物の蚤ですが、扇面に描かれているところを見ると、江戸時代の人は案外ユーモラスな存在として見ていたのでしょうか? それとも叩いてストレスの発散にしたのでしょうか。ところで、蚤のジャンプは非常に高く綺麗な放物線を描いて、実に芸術的なのをご存知ですか?
雪村周継、「琴高仙人図」。
鯉に琴高仙人が乗った、大変著名な作品。なかなかユーモラスです。
「紺木綿地蛸文様陸尺看板」。江戸時代の作品。
両袖に凛々しい面構えの蛸が描かれています。ゆでダコになっていないのが良い。マスコミが報道するとき、解説のフリップは必ず、蛸は真っ赤に、ワカメは緑色で表現しています。蛸もワカメも茹でないと、赤くもならないし緑色にもならない。マスコミ報道では、海底には、茹でたワカメがそよぎ、茹で蛸が泳いでいます。何とかならないもんかね??????
狩野元信、「四季花鳥図」。
滝の前を松の枝が横切り、その枝に小禽が止まっている図。しかし、よく見ると、捕らえたのでしょう、一羽の小禽が足で虫を踏み潰しています。滝や松の豪快さの中に哀れを誘う作品でもあります。
伊藤若冲、「百犬図」。
さて何匹犬が描かれているでしょう? 国立博物館から提示された問題でした。数えるのも面倒なので、早速答えを見ると、59匹ということでした。犬だけを沢山描いた作品ですが、一言で言えば気持ちが悪い。一種異様な作品です。それも若冲の面目なのでしょうか?
俵屋宗達、「牛図」。
宗達が得意としたと言われる、たらし込みの技法で描かれた牛。何とも印象的な牛です。
猪。森祖仙は「猿の祖仙」と謳われますが、「雪中三獣図襖」の猪も非常に生き生きと巧みに描いています。この襖絵、鹿、猿、猪、雀が描かれており、動物たちが話をしているような、そんな幻想にとらわれる大変和やかな作品でした。
三彩駱駝(京都国立博物館)
駱駝もいました。唐三彩の名品から「三彩駱駝」。(上写真)
他に、象、虎、豹(当時、豹は虎の雌だと思われていたようです)、霊獣の麒麟、龍等様々な動物が展示されていました。
最後に、「これ、欲しいと思った」作品が、国井応文・望月玉泉筆「花卉鳥獣図巻」。
明治時代の動植物図鑑に相当する作品のようです。身近な動植物が実に写実的に且つ芸術的に描かれています。
文責:HIPPO 編集:京都で遊ぼうART
比良や霊仙山には度々行っている山屋です。 京都国立博物館はじめ、美術館・博物館で作品を鑑賞した後、静かな佇まいの場所を選んで散策することが楽しみです。 美味しいものや、京都らしいものを探し求めながら…。 クラシック音楽のコンサートでも京都にお邪魔しています。