2012年4月30日、多少朝早く京都に着いたせいか、連休にもかかわらず、いつもの喧騒がありません。おかげで、京都文化博物館の「芹沢銈介展」もゆっくり鑑賞することができました。
この展覧会、入るなり圧倒されます。芹沢銈介が多用した「いろは文字文の着物」を始め素晴らしいデザインの作品が展示されています。他に、「赤い葉文様の帯地」、「お滝図文のれん」、「縄のれん文のれん」、「出雲屏風」等・・・。
ガラス絵等も素晴らしいのですが、やはり、着物地、帯地、屏風、のれんが目を引きます。中でも「お滝図文のれん」は、三つに分かれた中央部分が左右より暗く染められているため、滝が奥まって見えるように工夫されています。この作品に限らず、芹沢銈介の作品は立体感が素晴らしく作品の前で立ち止まることがしばしばでした。
「風の字文のれん」は、あまりに有名ですが、見慣れているこの暖簾も、本物に接するとまったく印象が違います。パリのグラン・パレでの個展で、この「風」がポスターに選ばれたのは頷けます。隣に展示されていた「縄のれん文のれん」共々しばらく見とれていました。
手控えも展示されていました。団扇の手控えの中の作品が実作品に使用されているのを眺めながら見比べて楽しんでいました。
「赤い葉文様の帯地」。赤がいい。私の好きな赤です。この赤で思い出したのが、京都国立近代美術館に展示されていた「型染め鯛文の着物」。この赤より少し暗い赤に鯛文が白く抜かれ、圧倒的な迫力で迫ってきたことが思い出されました。
この後、常設展を鑑賞しました。改装されて楽しめる常設展に代わっていたのは好感が持てました。
昼食後、斜め向かいの「姉小路高倉」を覗き、細見美術館に、人気の高い酒井抱一、鈴木其一の作品の並ぶ「酒井抱一と江戸琳派の全貌」(細身美術館)を鑑賞。斜め向かいの京都産業文化会館に立ち寄り、古書市や刀剣市を見てきました。刀剣市は一種独特の雰囲気が漂っています。何だか場違いな感覚でした。
夕方は、いつも通りの人出で普段の喧騒を取り戻していた京都駅を後にしました。
比良や霊仙山には度々行っている山屋です。 京都国立博物館はじめ、美術館・博物館で作品を鑑賞した後、静かな佇まいの場所を選んで散策することが楽しみです。 美味しいものや、京都らしいものを探し求めながら…。 クラシック音楽のコンサートでも京都にお邪魔しています。