2013年1月20日 、「京の冬の旅」非公開文化財特別公開と貴道裕子コレクションを鑑賞してきました。
まずは、仁和寺に。非公開文化財の特別公開は、金堂と五重塔。五重塔は50年ぶりの公開とか。金堂は寛永年間の皇居建て替えに伴い、それまでの紫宸殿が仁和寺に下げ渡され寺院の金堂に改修されたもの。金色の金具で飾られた蔀戸の美しさは格別です。
金堂に入り参拝。本尊は阿弥陀如来。脇に観音菩薩と勢至菩薩が祀られています。仏像は江戸時代に再建された当時のもので、仏師運節の作とされています。背景の壁画は、極彩色の浄土図と観音図なのですが、金堂内部は照明が暗いため仏像同様定かに見ることができないのは残念です。仁和寺は霊宝館に中世の仏像が保存されており、仁和寺創建当時の阿弥陀三尊像もこちらに保管されています。
金堂の屋根の上に亀に乗った仙人がいます。この亀は、「大海の底に亀あり三千年に一度海上にあがる...」とされる亀なのだそうですが、何と! この亀を生涯に5回見たという黄安仙人が乗っているのだそうです。京都の多くの寺院は、応仁の乱に代表される戦の災禍や火災にあっており、末永くという意味を込めているのだと思われます。先端の丸瓦の文様は、蓮華の上に梵字を描いています。梵字は「フリーヒ」と読み阿弥陀如来を意味する種子(しゅじ)なのだそうです。
写真を撮り忘れたのが残念なのですが、仁和寺・金堂の軒下は、垂木が三段に重ねられた三軒(みのき)と呼ばれるもので、仏堂に使用されるのは珍しいとされ、他には奈良・興福寺・北円堂等にしか見られないそうです。
さて、五重塔へ。この五重塔は、近代五重塔の名作と言われているだけあって、趣のある佇まいをしています。正面の額は、大日如来を示す種子だそうです。塔内部には大日如来、その周りに無量寿如来、開敷華王如来、天鼓雷音如来等が安置されています。公開は五重塔の四面の内の一面だけが開放されており、そこから拝観することになります。五重塔の内部に立ち入ることはできません。仏像は金堂同様、運節の作と言われているそうですが、異論もあるようです。
仁和寺の二王門から妙心寺に。北門から入り、一般公開されている法堂と明智風呂の拝観に。ここの拝観は時間制。案内の方の詳細な説明を伺うことができます。妙心寺で有名なのは退蔵院の庭園・襖絵等と法堂の龍でしょうか。今日は狩野探幽の「龍」に逢うことにしました。法堂の天井に描かれた探幽の龍は、入り口では俯き、法堂を一回りする間に上を向き、出口では見事な昇り龍になります。残念ながら「鳴き龍」ではありません。鳴き龍を経験したいのであれば、相国寺の龍がチリチリと鳴きます。
法堂には、梵鐘が安置されています。この鐘は制作年代の分かる鐘としては日本最古(698年)、また「黄鐘調」(おうしきちょう)の鐘としても有名で国宝に指定されています。「およそ鐘のこゑは黄鐘調なるべし。これ無常の調子、祇園精舍の無常院の聲なり。西園寺の鐘、黄鐘調に鑄らるべしとて、あまたたび鑄替へられけれども、かなはざりけるを、遠國よりたづね出されけり。浄金剛院の鐘の声、また黄鐘調なり...」 徒然草の一節ですが、この浄金剛院の鐘が移設されたもの。昭和48年までは毎年「行く年来る年」の冒頭を飾っていた鐘だそうですが、これ以上撞くとヒビが入ると判断され現在は法堂の内部に保存されています。鐘の音は録音分を再生してくれます。
明智風呂は、明智光秀の菩提を弔う意味で作られたものだそうです。蒸し風呂ですがシステムが良く出来ていて感心させられます。
最終日とあって混んでました。女性の中に男性がチラホラ。そのチラホラの一人が私。「てっさい堂」は三条通の南、古門前通にあります。てっさい堂から少し離れたところに、「なんでも鑑定団」でお馴染みの田中大氏の「思文閣」があります。この周辺に京都の古美術商が集まっています。
貴道コレクションですが、小鉢、小皿が「これでもか」と言うくらい並んでいます。文様の豊富さに感心しながら鑑賞していくと、帯留めのコーナーに入った途端に人が動かない。圧倒的多数を占める女性が、十重二十重、いや二重三重くらいになって品定め???? 男性の出る幕ではない??? しかし、帯留めの見事な細工は圧巻です。それに惹かれて、ナントカ隙間から覗きこんで鑑賞してきました。
ポチ袋の膨大な収集も面白く、歌舞伎のポチ袋は一つ欲しい気がします。
比良や霊仙山には度々行っている山屋です。 京都国立博物館はじめ、美術館・博物館で作品を鑑賞した後、静かな佇まいの場所を選んで散策することが楽しみです。 美味しいものや、京都らしいものを探し求めながら…。 クラシック音楽のコンサートでも京都にお邪魔しています。