2013年2月1日。本日の本命は、Kyo×Kyo today。18:30開場なので、それまで散策することに。
髪が鬱陶しかったので、まず美容室に行きスッキリ。
JR京都駅に戻る道すがら、「是非見ていってください」と誘われ、ヨドバシビル1F北東角の京都市無形文化遺産展示室へ。
大船鉾(おおふねほこ)。その成立は応仁の乱以前に遡るとされます。
山鉾巡行では、後祭の殿を巡航する鉾でしたが、1864年蛤御門の変による火災により、懸装品は持ち出せたものの、舟形の木組や車輪等の構造部分を消失し、以降、山鉾巡行に参加できていません。
2011年より巡行復帰を目指して鉾の再建が始まり、昨年は御神面を入れた唐櫃による特別な形で山鉾巡行に復帰、来年(2014年)、鉾本体消失150年の節目に山鉾巡行復帰を目指しています。
ここ京都市無形文化遺産展示室には、山鉾行事の概要のパネル展示と共に、大船鉾の製作過程にある実物が展示されています。
来年祇園祭に、また一つ大きな楽しみが増えるようです。
鉾を飾る懸装品は、修理により使用可能なものは現存するものを使用していく方針とされています。
現在の大船鉾。
屋形全体図(「大船鉾復興事業」ご支援のお願いのパンフレットよりスキャンしています)。
車輪部分。
四枚目は縄がらみです。祇園祭の鉾は一切釘を使用せず、写真のように荒縄で固定します。
素人考えですが、揺れに強い免震構造になっているような気がします。
【特集】祇園祭 GION-MATSURI 京都の街中がミュージアム!
公益財団法人 四条町大船鉾保存会
軽く食事した後、島津製作所創業記念館に。
入り口の受付の脇に「ベンハムのコマ」が、2個300円(?)で売っていました。様々な色を放射状に配しているコマは、回すと灰色に見えます。黒だけをアチラコチラに配しているコマは、回すと、回転速度によって様々な色が発生します。
商売の邪魔をするわけではないのですが、厚紙に様々な色(単一の色で塗りつぶすと回しても、その色が見えるだけです)を好きに塗って円形に切り抜き、中心に穴を開けてコマにして回してみてください。感激すること請け合いです。原理の説明を必要としないのなら、こちらの方が絶対に面白い。
コマを回した時に、発光した色が写真に写る場合と写らない場合があります。発光した色が写真に写らないのは単なる目の錯覚によるものだからです。太陽光の下や蛍光灯の下で回したりしても(光源の種類の相違)楽しめます。
詳細は「ベンハムのコマ」で検索してください。
なお、目の錯覚を利用した錯視のサイトがありますので紹介しておきます。
二階の展示室には「転上体」(円錐形のコマが傾斜面を転り上がるコマ)が置いてありました。
多くの方が、「物体は上から下に転がる」と思っているようですが、少し違います。「物体はそのものの重心が低くなる方向に転がります。」 横から見ると良く分かります。
展示品には、日本初のレントゲン撮影装置や、足踏み式の旋盤(フレームは木製)などがあります。昔の足踏みミシン同様、下部の踏み板を踏んで回転させます。その他多数の展示品があり、日本近代科学技術の発展過程をつぶさに見ることができます。
写真撮影が可能でしたので、幾つか紹介しておきます。
レントゲン撮影装置
足踏み式旋盤
ガスクロマトグラフィー。この写真の右上に少しだけ写っているのが、F104航空機用空気調和装置です。
島津製作所創業記念資料館
【特集】おこしやす!京の文化めぐり 第18回京都ミュージアムロード
此処は、自然史、文化史、技術史の3つのジャンルに分かれています。自然史に関しては写真撮影可能です。まず自然史のコーナーへ。いきなりナウマンゾウの復元標本が出迎えてくれます。ナウマンゾウの化石は、野尻湖、印旛村(千葉県)等で発見されています。古い化石では、正倉院の「五色龍歯」(ナウマンゾウの臼歯の化石)があります。
写真はナウマンゾウ(左)とアジアゾウの標本
他にランビルの森の観察ルートの復元等多彩です。大学の博物館の魅力は標本の素晴らしさにありますが、此処の標本も見事の一言に尽きます。
ランビルの森の観察ルートの復元写真。
標本の中から蝶とタヌキの写真です。モグラもいたのですが、あまりに生々しく、写真を撮る気になれませんでした。
文化史のコーナーは「マリア十五玄義図」と「ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム」の企画展。
「マリア十五玄義図」、正しくは「紙本着色聖母子十五玄義・聖体秘跡図」と呼ぶそうです。
「マリア十五玄義図」は、幼いキリストを抱くマリア像を中心に、その周りに15の絵を配置したもの。その昔、隠れキリシタンが祈りを捧げたものだそうです。なお、マリア像の下に、イグナチウス・ロヨラとフランシスコ・ザビエルが描かれています。
研究の成果として下絵が展示されています。線の性質から日本人が描いたものと解説されていました。
ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアムは、メディチ家のコレクションを母体とするウフィツィ美術館の収蔵品を実物大の高精細画像で展示したもので、コレクションの性格上ルネッサンス期の絵画が中心です。ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を始めとし、レオナルド・ダ・ビンチ、レンブラント等々。
展示室中央にタッチパネルのコンピュータがあります。好きな絵画を選ぶ、その後は拡大縮小自由自在。一枚の絵画を1200ppi(1インチあたり1200ピクセル)以上の解像度でデジタル化された画像は、どこまでも拡大でき本物の展示では絶対に見ることのできない細部まで極精細で鑑賞することができるのは魅力です。「ヴィーナスの誕生」は、103億ピクセル(画素)でデジタル化されているそうです。
隣には、高精細デジタルデータによる解説シアター (200インチスクリーン)もあります。一作品あたり凡そ5分位、全部鑑賞すると一時間程かかりますが、大画面の迫力と専門的な解説で楽しい時間を過ごせます。
ただ、室内に入って座席に座ると、側面のスクリーンが見えなくなります。そこが少し残念。私は入り口に立って、正面と側面のスクリーンの両方を視界に入れて楽しみました。
この日立製作所・DISプロジェクトによる、高精細デジタル画像で最も残念なのは、ボッティチェッリもレオナルド・ダ・ビンチもレンブラントも全部同じに見えることです。作者の個性が消えています。そうは言うものの、とっても楽しめます。
京都大学総合博物館
【特集】おこしやす!京の文化めぐり 第18回京都ミュージアムロード
Kyo×Kyo todayは、2011年から続く京都芸術センターと京都市交響楽団のコラボレーション企画。3回目の今回は「Dialogue 対話する弦楽器」と題された弦楽六重奏のコンサート。
会場は、小学校の講堂を改装したもので、定員200名くらいでしょうか? 満席でした。
プログラムは、
リヒャルト・シュトラウス: 歌劇「カプリッチョ」よりオーバーチュア
モーツアルト: ヴァイオリンとヴィオラの為のデュオ
ブラームス: 弦楽六重奏曲 第一番
アンコールは、ボッケリーニの「メヌエット」でした。
大変力感あるアンサンブルで、優しく激しく奏でられるDialogueを堪能させていただきました。案内役はヴィオラの小峰航一氏。辿々しい話しぶりが面白く楽しませていただきました。
リヒャルト・シュトラウスの、このオーバーチュアはLive演奏では珍しいのではないかと思います。 モーツアルトは、ヴァイオリンの泉原隆志氏の大きな動きに対して、ヴィオラの小峰氏の動きの少ない静的演奏の対比も面白く楽しませていただきました。 ブラームスは、力感ある演奏の中に、第二ヴァイオリンの相本朋子氏の繊細な響きが印象に残ります。
ブラームスの演奏中に、第一ヴィオラの小峰氏の弓の楔が抜けるというトラブルがありました。滅多にないことですが、こういうハプニングもLiveならではの楽しみです。おそらく、演奏途中に切れた弓毛を手で切った時に、楔が緩み、その後の演奏中に脱落したのではないかと、勝手に想像しています。
観客のマナーも良く楽しい時間を過ごさせていただきました。
比良や霊仙山には度々行っている山屋です。 京都国立博物館はじめ、美術館・博物館で作品を鑑賞した後、静かな佇まいの場所を選んで散策することが楽しみです。 美味しいものや、京都らしいものを探し求めながら…。 クラシック音楽のコンサートでも京都にお邪魔しています。