11時前にJR京都駅に到着。駅前に小さな人だかりができています。NHKのラジオ体操が響いてきます。京都府赤十字の方々でしょうか、ラジオ体操のパフォーマンスです。
昼食をとった後、烏丸御池からブラブラと会場のアートスペースHase(ハーゼ)に(実際に足を運ぶのであれば、地下鉄なら二条城前のほうが近い)。今日は此処で、京都市交響楽団のメンバーがお届けするフランス音楽〜午後の微睡み〜、という副題の付いた「七夕コンサート」が行われます。小さなホールでのコンサートは、オーケストラのメンバーが使用している高級楽器を目の当たりにできるメリットもあります。また、0歳時からのコンサートということもあり、会場には子供たちも沢山いました。現在の七夕は、グレゴリオ暦の7月7日に行われますが、例年、梅雨の真っ最中で星の観測には向いていません。そこで、国立天文台は、旧暦での七夕を呼びかけています。題して「伝統的七夕の日」。この日に全国一斉ライトダウンも呼びかけています。旧暦ですので、伝統的七夕の日は毎年変動します。今年は8月13日。以下、キャンペーンサイト(http://7min.darksky.jp/)からの引用です。
伝統的七夕ライトダウン2013推進委員会(委員長:阪本成一、宇宙航空研究開発機構・教授)は、 みんなで明かりを消して星空を見上げよう、と呼びかける「伝統的七夕ライトダウン2013キャンペーン」を、8月12日と13日の2夜にわたり実施いたします。 2011年より始まったこのキャンペーンは今回が3回目となります。
国立天文台が提唱するいわゆる旧暦の七夕にあたる「伝統的七夕」は、8月で晴天が多く、 上弦の月が美しく輝き、月が沈んだ夜半には天の川がひろがる夜空を楽しめます。 今年の伝統的七夕は8月13日。 頭上には織姫星と彦星が輝き、上弦前の月を楽しむことができます。 また、12日深夜から13日未明にはペルセウス座流星群が極大を迎えます。 そこで今年は、七夕の星だけでなく、 流星群にも願いをかける8月12日・13日を実施日とし「星に願う2日間」をスローガンに、 星空の下で人々の思いをつなげるキャンペーンを展開します。 ほんのひととき、みんなで美しい星空を取り戻してみませんか。”
さて、七夕コンサート。演奏は、
フルート: 清水信貴
ヴィオラ: 小峰航一
ハープ: 松村衣里
の三氏。
パンフレットに記載されている演奏曲目は、
ドビュッシー: フルート、アルト、ハープのためのソナタ
ラヴェル: ソナチネ
ジョリヴェ: フルート、アルト、ハープのための小組曲
なのですが・・・。
いきなりプログラムにない曲から。最初の演奏は、松村衣里氏のハープ独奏で始まりました。曲目は、マルセル・トゥルニエの「森の中の泉のほとりにて」。クラシックのコンサートには時々足を運んでいるのですが、ハープのLive演奏を鑑賞するのは初めてです。
爽やかで心地良いメロディーが会場を流れます。どのような曲なのかは、以下のリンク参考にしてください。
■ マルセル・トゥルニエ: 森の中の泉のほとりにて
http://www.youtube.com/watch?v=HBc7SAJqw7Q
続いて、ラベルの「ソナチネ」。ピアノ曲として有名で、ピアノを習った方なら一度は弾いたことがあるのではないかと思います。演奏は、このピアノ曲をアメリカのハープ奏者でもあるサルセードが、フルート、ヴィオラ、ハープのアンザンブル用に編曲した曲です。馴染み深い曲ですが、このように編曲されると趣が変わり、面白く感じます。音合わせの時、フルートを軽く暖めているようです。素人の耳には全くわからないのですが、少しフラットしていたのでしょうか? この曲、全部で三楽章よりなります。以下にセルサード編曲分のリンクを貼っておきます。ピアノ曲との違いを楽しんでいただければと思います。
■ ラベル: ソナチネ
第一楽章 http://www.youtube.com/watch?v=P8sNuzHWAaI
第二楽章 http://www.youtube.com/watch?v=MvnJSf_aoNk
第三楽章 http://www.youtube.com/watch?v=OS1BTTbhTek
ここで、松村氏から、夫々の演奏者に独奏もして頂くという話があり、聴衆全員大喜びとなります。三曲目はヴィオラの小峰航一氏の独奏。小峰氏はヴュータンの曲という。聞き落としたのかもしれませんが曲名が分からない。朧気な印象を頼りに探した結果、多分、この曲ではないかと思います。小峰さん、間違っていたら御免なさい。
■ ヴュータン: 無伴奏ヴィオラのための奇想曲 「パガニーニへのオマージュ」 ハ短調 Op.55
http://www.youtube.com/watch?v=suiRi4a10fw
小峰氏のヴィオラは良い。ふくよかで情感豊かな音が心に沁み入ります。小峰氏のヴィオラを聴くのは今回で二度目になりますが、毎回、ヴィオラという楽器の良さを認識させてくれます。
四曲目は、ジョリヴェの「フルート、アルト、ハープのための小組曲」。ジョリヴェの曲が演奏されることは珍しいと思います。全部で五楽章からなる曲ですが、第五楽章ではフルートに代わってピッコロの演奏となります。大変リズムのある楽章で、子供たちも楽しんでいました。下にリンクを貼っておきます。最初のリンクは演奏時間が短い。「あれ」っと思っていたら、第四楽章まででした。この曲、第一楽章にはプレリュードとか各楽章にタイトルが付いているのですが、第五楽章はOhne Titleとなっていますのでタイトル無し。ハッキリしませんが第四楽章までの演奏が通常なのかもしれません。検索が不十分なのかもしれませんが、五楽章通してのビデオはアップロードされていないようです。別に、第五楽章の演奏のリンクも貼っておきます。
■ ジョリヴェ: フルート、アルト、ハープのための小組曲
第一楽章〜第四楽章 http://www.youtube.com/watch?v=YS-VVNxrJ-o
第五楽章 http://www.youtube.com/watch?v=0HCr4SKeHmA
五曲目は、清水信貴氏のフルート独奏。曲目はドビュッシー の「シランクス」。フランス語ではシランクスとなるようですが、日本ではシュリンクスが一般的です。シュリンクスは、ギリシャ神話の精霊でアルテミスの侍女。羊飼いの神パーン(半人半羊の神獣)に一目惚れされて追いかけられ、川に追い詰められ、川の神に助けを求めます。川の神は、この願いを聞き入れ、彼女を葦にします。パーンは思い出に、その葦を抜き取り笛にします。この笛はパーンフルートと呼ばれ、モーツアルトの歌劇「魔笛」でパパゲーノが吹く笛もパーンフルートです。
美しいシュリンクスの幻を求めて、以下のリンクを訪ねてみてください。
■ ドビュッシー: シランクス
http://www.youtube.com/watch?v=SWe-ImgvR2o
プログラム記載で残っている曲が、ドビュッシーの「フルート、アルト、ハープのためのソナタ」。何か不思議な世界へ誘われていく、そのような感じの曲です。ハープがシッカリと響き、ヴィオラとフルートの音の受け渡しが巧みで楽しませていただきました。ところで、この曲名の中にもまた”アルト”とありますが、フランス語でヴィオラのことです。
■ ドビュッシー: フルート、アルト、ハープのためのソナタ
http://www.youtube.com/watch?v=9frKtO0nRn8
アンコールもまたドビュッシー。「月の光」でした。
■ ドビュッシー: 月の光
http://www.youtube.com/watch?v=y12kJl90qvM
小峰氏によると、「アンコールは一曲しか用意していなかったので...」ということで、アンコールの二曲目は、ジョリヴェの「フルート、アルト、ハープのための小組曲」から第五楽章の再演でした。
コンサートが終わり、JR京都駅に。浴衣姿の女性が目立ちます。美術館「えき」KYOTOの「本池秀夫の革の世界展」へ。
出迎えてくれたのが《考える猿》。ロダンの《考える人》のパロディーでしょうか? カバ、ネコ、ゴリラなど、これが革で作られているとは信じがたい作品が並んでいます。殆どの動物作品は等身大にちかく迫力満点です。この日、タイミング良く本池氏ご本人が居られ、解説されていました。作品は木型を抜いた後は空洞であるとか、髪の毛の作り方とか解説しておられました。大きなサラブレッドの作品があるのですが、この馬一頭制作するのに、牛三頭分の毛皮が必要なんだそうです。
いわゆる古き良き時代のアメリカの家庭を表現した作品等多彩です。作品の最後に《自画像》がありました。ご本人と比べると、かなり老けて見えました。
比良や霊仙山には度々行っている山屋です。 京都国立博物館はじめ、美術館・博物館で作品を鑑賞した後、静かな佇まいの場所を選んで散策することが楽しみです。 美味しいものや、京都らしいものを探し求めながら…。 クラシック音楽のコンサートでも京都にお邪魔しています。