人が渦巻く四条界隈。
1年にいちどしかない独特の空気。
祇園祭の宵山に行って来ました。
言わずもがな、ものすごい人出です。
まず四条御旅所にお参りに行きました。
御旅所(おたびしょ)は川端康成の小説『古都』のなかで、生き別れの双子が再会を果たすシーンの舞台となっています。
「神さまのお引き合わせどす」という台詞が効いた山場のシーンですが、そういう神がかり的なドラマチック展開を妄想させてしまうような空気が、宵山にはあるような気がします。
お参りをした後は屋台と鉾を求めて、てくてく歩きます。
歩いている途中で見た綾傘鉾。
歩きながら屋台で色々食べましたが、喜多方のラーメンバーガーというのが個人的においしかったです(京都関係ない)。
あと、金魚すくいの類似モノで亀すくいもありました。
そのうちお腹も膨れてきたので、屏風祭を見に行きました。
私が訪れたのは杉本家住宅。
写真撮影不可でしたので写真はありませんが、夏の町屋は何とも風流でした。
最初に入ったお部屋は洋室で、床がコルクなのだとボランティアらしき方が教えて下さりました。
浴衣に下駄を履いていたので裸足でお邪魔したのですが、コルクは少し柔らかい肌触りで新鮮でした。
和室には色々な屏風が飾られていましたが、私が特に印象に残ったのが
俵谷宗達の「秋草図屏風」。畳に座って近くに寄り、じっくり鑑賞することが出来ました。
ぼわっとした蝋燭のような光の中で眺めていると、宗達の細かい筆遣いまで見られてとても贅沢でした。
屏風が本来使われるシチュエーションで見るのは、博物館とは違う趣がありました。
他にも、木彫りの鳳凰などの小物や絨毯に加えて、台所などの町屋建築そのものも楽しめました。
柱のような形をした大きな氷が置かれていて、説明して下さった方に促されるままに
氷を撫でたハンカチを首筋にあてると、ひんやりして気持ちが良かったです。
雅な夏のしつらえの中で、喧騒から離れての宵山も良いものだなと、しばしの間たそがれました。
※杉本家住宅 夏の一般公開「祇園祭 屏風飾り」展
そのまま横になりたいくらい癒されたのですが、
そうも言っていられないのでまた表の人混みの中へ。
月鉾。
…を通り過ぎて、見えてきた函谷鉾にたくさんの人が上っていました。
22時を回っていたのですが幸いまだ上れる!ということだったので
上ってみることにしました。
鉾の上から見た景色は人の海…。
鉾の懸想品や彫り物も間近で見ると凝りに凝ってあります。
女性が上れない鉾もありますが、函谷鉾はOKでした。
鉾から下りた後は、帰途につきました。
烏丸御池へと歩いていると孟宗山が。
これが宵山で私の見た最後の鉾でした。
暗闇の中で提灯が引き立っていました。
…宵山は本当にすごい熱気でした。
とにかく暑いうえに人が多くてエネルギーが要りますが、あの熱気の渦に身を投じられるのは幸せだなと感じました。
文責:keico 編集:京都で遊ぼうART