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「上村松園展」(京都国立近代美術館):後期編

投稿:2010年12月 3日

soshiarai_shoen.jpg 『草紙洗小町』(昭和12年)
モチーフは能の演目「草紙洗」。歌合せの際に相手に嵌められた小野小町が、その罠を見事に看破するという物語。
松園自身は表情に能らしさを表現したといい、「能楽に取材して、それを普通の人物に扱ったという点に、わたくしのある主張やら好みやらが含まれている」とこの作品を語っている。

後期松園展は、『焔』と『草紙洗小町』につきます。

前期の『序の舞』に代わって、入口では『草紙洗小町』が迎えいれてくれます。
「静」をイメージしていった私には、思いのほか大きな作品でした。上げた右手の扇から左手の草紙へと髪の流れとともに目が導かれるようです。
能の面を小町の顔としたきりっと引き締まった緊張感のある大きな作品です。
この作品の題材を知った上で観ると、更に興味深く観ることが出来るのではないでしょうか。

一方『焔』は、六条御息所の霊気が迫ってきます。
松園の作品でこのような表情の女性は他にはないのではないか。脚が描かれず、クモの巣と藤の文様の着物(藤の花は絵の具が盛り上がっています)、髪をくわえて振り向いた姿、カギになった左の小指。女の情念の凄みと哀しさ、六条御息所の生霊が松園に描かせたようです。
この作品の軸装もいいですね。

今回の『上村松園展』は、有名な松園の作品は全部観る事ができるという、かつてないまさに大回顧展です。
あと10日程で終わってしまうのが惜しいような展覧会でした。


文責:licoluise 編集:京都で遊ぼうART



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