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生誕110年記念 荻須高徳展~憧れのパリ、煌きのベネチア~(美術館「えき」KYOTO)

投稿:2011年9月30日

ogisu_01_01.jpg洋画家、荻須高徳(1901-1986)の回顧展である。

文化勲章受章者でもあり、20世紀を代表する洋画家の一人です。
よって、名前も知っているし、パリの風景を描いていた作品も何度か目にした事はありますが、回顧展となるとその作品をまとめて観ることの出来る良い機会です。

パリの風景と言えばやはり佐伯祐三とユトリロが思い浮かびます。

佐伯のパリの風景は、スピード感があり、また寂しげでもありますが、そんな佐伯のパリの風景とはどこがちがうのだろうと荻須の作品を観ながらずっと考えていました。
荻須は、佐伯祐三より2才年下ですが、共に小石川の川端画学校に入り、藤島武二に師事し、東京美術学校西洋画科に入学、卒業しています。
佐伯の2回目の渡仏の時期は、荻須の渡仏時期と重なっており一緒に写生旅行にも出かけ、荻須は佐伯の死にも立ち会っています。
が、佐伯は、渡仏後ブラマンクに一喝されたというエピソードもあり、病気の悪化や精神面での不安定で30歳でなくなってしまいます。

荻須は、裕福な家庭に生まれ、東京美術学校卒業後すぐに渡仏し、翌年にはサロンに入選し、パリに来て2年半で個展を開いています。
戦争で帰国しますが1948年戦後初めて入国を許された日本人画家であり、「日本生まれのパリ人」と評されたそうです。
つまり、すぐに異国でも受け入れられて、パリに腰を落ち着けて描く事のできる境遇が、落ち着いた作品、パリに溶けこんだような作品が生まれたのではないでしょうか?
不安感が漂う佐伯との違いはそこにあるのではないかと感じました。

今回の展覧会で荻須の写真もありましたが、お洒落でダンディーで、当然悶々としたところもなく、多分パリでガツンって事なかったのでしょう。
パリで生活し、そこに住む人の普通のくらしを切り取りながら、お気に入りのパリの街を描いたように感じました。

曇り空のパリとは対照的な明るい日差しのベネチアに滞在して運河に映えるベネチアの街の風景も多く描いています。
ベネチアを描く荻須は旅行者の眼です。
私も最近 アンジェリーナ・ジョリーの「ツーリスト」を観たからでしょうか、南国の光、運河、水に反射する光とベネチア特有の建物を描いた作品は素敵だと思いました。

一人の画家の作品をまとめてみることで「荻須高徳」が浮かび上がって来るかもしれません。

文責:licoluise 編集:京都で遊ぼうART

 

関連リンク

生誕110年記念 荻須高徳展 ~憧れのパリ、煌めきのべネチア~

美術館「えき」KYOTO



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