紅葉にはまだ少し早い京都へ行ってきました。
前期後期で出品目録によれば355の展示です。
永青文庫の成り立ちや名門細川家の長い歴史については、それだけでレポートが終わってしまいますので、永青文庫や京博のHPを参照下さい。
(http://www.eiseibunko.com/ http://hosokawa2011.exh.jp/highlight.html)
細川家に伝わった武器、武具、文書、絵画、工芸品と16代当主護立によるコレクションの中からの展示です。
(国宝8点、重要文化財31点をふくむ、およそ6,000点の美術工芸品と48,000点の歴史文書を所蔵)
中世室町幕府の管領家以来、戦国時代には時の権力者(信長、秀吉、光秀)とも近く、また、当時の文化人の第一人者として、文武兼備の家柄から、観る人それぞれに興味のあるセクションも違ってくるかもしれません。
テレビの大河ドラマの登場人物が書いた書状が目の前にあることがもう信じられません。
2代忠興の妻ガラシャ(光秀の娘)縁の品も多く展示されており、「霜女覚書」は、ガラシャの最後を綴ったもので、武士の妻として、キリスト者として最後を向かえたガラシャを想い胸が熱くなりました。
≪黒糸威横矧二枚胴具足≫(細川忠興所用)
桃山時代 16世紀 永青文庫蔵
忠興が関が原の戦いで使った甲冑も展示されています。
忠興はかなりのおしゃれな人であったかと、冑の上の山鳥の尾羽は戦場で目立ったことでしょう。
初代細川藤孝(幽斎)は利休を友とし、2代忠興(三斎)は利休七哲の一人で、利休の忠実な後継者(織部のような独創性を追求しなかった)でした。
利休遺愛の茶道具も数多く伝来しており、超一級の茶道具ばかりです。
当時の数奇者が手に取って「手に馴染んでスッポリと収まりぐあいの良い茶碗や」と狭い茶室で膝を寄せてほめちやかした品々かもしれませんね。茶道具は「銘」も面白いですね。
≪時雨螺鈿鞍≫鎌倉時代・13世紀 永青文庫蔵(国宝)
工芸品の漆器や蒔絵螺鈿は豪華、華麗、見事どう形容すればいいのでしょうか。
螺鈿の入った鞍は乗ったらあかんでしょうと思ってしました。蒔絵螺鈿硯箱や料紙箱も息を呑むほどに美しいです。
武士の教養の一つである能は、艶やかな能装束と能面が展示されています。流石大名家伝来の装束ですね。
後半は、16代当主護立のコレクションです。
護立の蒐集は、多分自分が気に入ったもの、細川家に縁のあるもの、「いいものが入りました」の声にのったものがあるのではないかと。幅広すぎるほどに収集しています。
きっかけとなったのは白隠の禅画だったそうです。
禅画は、先のギッターコレクションでも多く観ましたが、今回は白隠の墨蹟もありました。
白隠の観音さんはここでも色っぽいし、仙厓さんはやっぱりユーモアいっぱいで奔放です。
宮本武蔵の「鵜図」は、かの剣豪宮本武蔵と思って観るからなのか、描く事に集中し、はりつめた画面で心に残りました。
小林古径≪髪≫昭和6年 永青文庫蔵(重要文化財)
近代日本画も春草の『黒き猫』をはじめ、古径の「髪」、安井曾太郎の「金蓉」、梅原の「紫禁城」と有名な作品が展示されています。
前期展示の春草の『落ち葉』は、春草の作品の中でも特に好きな作品で、思いがけない嬉しい再会でした。
1981年、ご当主は先代16代護貞さん、京博は林屋館長の時代に「細川家コレクション 東洋美術」が京博で開催されており、はからずも私のなかでは、青木繁に続いての私的巡回でした。
できますなら、「永青文庫」の絵画、茶道具と分野ごとに展覧会をして頂きたいものです。
文責:licoluise 編集:京都で遊ぼうART
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