会期末間近の『井田照一の版画』@京都国立近代美術館へ行ってきました。
井田照一(1941-2006)のご遺族からの寄贈を受けてのお披露目企画展です。
モホイ・ナジ、村山知義、そして今回の井田照一、私の中にはなかった美術家ばかりです。
彼ら(ここのところの京近美の企画展)に共通するのは、"前衛"と"実験的" 。
従来に囚われることなく、様々な分野の制作活動を試み、考察を残しています。
今回の企画展では、井田照一の版画作品を通じて、昭和40年以降の日本の現代版画について考察することを目的とされています。
『版画』は、木版画や石版からシルクスクリーンやリトグラフなどなど、私などが目にするだけでも多様な手法が展開されます。
で、私にとって現代版画は、手法が多様すぎて、作品とどう向き合っていいのか?戸惑う所ですが、正直に対峙して、作品から発せられる何がしかをありのままに受けとめよう。
井田照一も日本の『現代版画』を代表する一人です。
京都に制作拠点を置き続けながら彼の制作活動は、多岐に渡り、チラシにあるちょっと難解な解説では「油彩、陶、ブロンズ、紙パルプ、などの様々な素材を自在に用いる重層的で、ある意味で哲学的な作品に挑み続けた”美術家”でした。」とあります。
井田の作品からは色彩の豊かさと形の面白さが飛び込んできます。
これは、私的には、次の京近美の企画展『型紙』にも通じるものを感じました。
ピンクの部屋のインスタレーションは、先に国立国際美術館で見た草間彌生の赤い水玉の部屋のようでした。
乾由明先生が作品に添えられている文章は、『版画』と言う概念と井田の作品にある"Surface is the Between"シリーズを観る者に成程と分からないながらも、感じてしまうのです。乾先生の講演会も拝聴したかったです
今回の企画展では、なんと!展示室で写真撮影が 出来ます!
コレクション展もいつも楽しみにしています。季節にそった作品と企画展に関連した作品が展示されています。
「オノサトトシノブ」私は、この作家も知りませんでした。エスニックなテキスタイルのデザイン画のようでもある幾何学的な作品です。∞の連続、作品を前にすると、眼がクチャとなるような、惹き(引き)付けられていくような不思議な気持ちになります。
三谷十糸子の寄贈による作品の額縁が面白く目にとまりました、作家自らが作成されたものなのでしょうか。
そして、いつも気になるのは、福田平八郎、何故にか彼の作品に呼び止められます。
最上川の大作で有名な小松均の色彩豊な作品にもちょっと驚きました。