お盆休みの始まる日曜の暑ーい日に行ってきました。
JR山崎駅からの美術館への送迎バスも乗車される人が多かったです。
バスを降りて煉瓦のトンネルをくぐれば、別世界です。美術館入口まで登っていくと、山の濃い緑を背景とした重厚な洋館が現れ、いつ来ても良いなぁ。
今回は、1912年に実業家、加賀正太郎が邸宅として着工して100年となった今年、蓮池のほとりに安藤忠雄さん設計の「夢の箱」が誕生し、美術館としての新たなスタートとしての企画展です。
ここが美術館となるまでの、アサヒビール初代社長、山本爲三郎と加賀正太郎の出会いと彼を巡る人々との出会いに注目しています。
現在の企業とアートの関係については、私にはわかりませんが、嘗ての日本の企業人は、コレクターと言うだけでなく、芸術を理解し、審美眼を持ち、芸術家をあらゆる面でバックアップし育て上げました。
展示作品の前にどうしても目が行ってしまう本館の内装のすばらしさです。それぞれの部屋にあったしゃれた照明や時代物の時計や調度品が素敵!!受付の「館内見取り図+山荘マメ知識」を参考に館内の隅々までじっくり眺めたい。
1階の池前展示室には、民藝運動の柳宗悦と浅川兄弟(浅川兄弟については、昨年大阪東洋陶磁美術館でとても良い企画展が開催されたので行かれた人も多いのではないでしょうか。)から朝鮮李朝の物が多く展示されています。この展示室の造り付けのソファに沈み込んでゆっくりするのも贅沢な気分です。豪華な内装の山本記念展示室には、バーナードリーチと富本憲吉の作品が展示されています。富本憲吉は京近美のコレクションでもお馴染みですね。サンルームとして使われていた石畳展示室には、ミロの可愛い造形作品が展示されています。
2階への階段の上の美しいステンドグラスにも目がとまります。2階の濱田庄司の作品が展示された常設展示室ではバスルームもチェックし、お隣の常設展示室で美術館の解説ビデオも流されています。ここからテラスに出て山側の景色も眺めました。蓮の季節にはちょっと遅かったのが残念でした。喫茶室側のテラスからの眺望は、抜群です。さすが天下分け目の天王山です。
本館のシックな展示品とは異なり、安藤忠雄設計の「地中館」には、色彩豊かな油絵が展示されています。今回のポスターともなったルノワールの「葉と果実の飾りのある裸婦」など白樺派によって日本に紹介された画家の作品が主に展示されています。この展示室といえばの、モネの「睡蓮」ももちろん展示されています。ボナールの「開いた窓辺の静物」やルドンの「女の顔」ゴッホの「窓辺も農婦」も良いですね。ルーシー・リーの優しい陶芸も展示されていました。
1928年の御大礼記念国産振興東京博覧会終了後、その「民藝館」が山本爲三郎の邸内へ移されて「三國荘」と名づけられました。この「三國荘」は、山本爲三郎を慕う人が多く集ったことでしょう。新しく誕生した安藤忠雄設計の「夢の箱」では、その「三國荘」の調度品が再現されています。講演会のスペースとしても使われているようです。
今回の企画展は、10月14日まで開催されています。広いお庭の季節折々の花々を眺めながらの散策も楽しみですね。