島根県安来市にある「足立美術館」は、ミシュランでも三ツ星の美しい庭園で有名ですが、日本画の大御所“横山大観”のコレクションは120点にも及ぶそうです。何故にこの美術館がそれ程のコレクションを持つに至ったかについては、足立美術館のHPをご覧下さい。創設者の執念とも言うべきでしょうか?
http://www.adachi-museum.or.jp/ja/i_zenko.html
大観の初期の作品より晩年に至るまでの41点が展示されています。
この度の展覧会では、作品目録も用意されており、受付でお願いすると頂けます。
ポスターやチラシにもなっている『無我』は、大観29歳の時の作品です。墨画淡彩、私的には線がまだ固いようにも感じました。
ここからは、菱田春草とともにチャレンジした「朦朧体」が風景画に見られます。
『那智乃瀧』は、キャプションにもあるように根津美術館の「那智瀧図」を思いおこさずにはいられません。装飾的な作品有り、南画風あり、流石、流石に構図も巧いし、色彩も見事で、50にしてもう巨匠の地位を確立していたと思われます。
『春風秋雨』は、琳派風のたらしこみも使い、春の風と秋の雨を金色で描き分ける巧さと美しさに何度も見入ってしまいました。
『朝嶺』『暮嶽』の墨画は、これが青のグラデーションなら東山魁夷さんの作品の様で、魁夷さんもこの作品を観たのではないかと思いました。
戦時期に描いた富士山と真っ赤な太陽は、国威発揚って感じが前面に出ておりました。
大観自らが売却した絵の代金を帝国陸軍に寄付し爆撃機に大観の名が付けられたとかで、思想的にはそのような方であったらしいです。
晩年の作品『壽』には、キャプションが残念ながら付けられていないのですが、ここに変な鳥が描かれているので尋ねてみますと、鳥が「壽」の字を表しているそうです。そういえば、周りに松竹梅が描かれており、誠にめでたい!作品となっています。
大観も最晩年まで絵筆を執っていたことにエネルギーを感じました。
日本画の巨匠一見の価値は有です。
“ヴェネツィア”という響きだけであこがれてしまいますね。
ヴェネツィアの歴史については、塩野七生さんの『海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年』を読んだ人にはもってこいの展覧会かと思います。レパントの戦いも出てきますし。
はたまた、私が愛してやまないヴィスコンティの『ヴェニスに死す』や最近のアンジーとジョニー・デップの『ツーリスト』の映画もここヴェネツィアが舞台です。
ヴェネツィアがどのように誕生し、都市として形成されていき、経済的に発展し、共和制という政治形態をとり、『アドリア海の女王』とよばれるまでになったかを、様々な面から見ることが出来るようになっています。
第4回十字軍など高校の世界史もよみがえってきます。
夏休みとあってお子様向けの解説もありました。
第1章は「黄金期」 ヴェネツィアの大河ドラマを見ているようです。
第2章は「華麗なる貴族」 ここでは、華麗とも退廃的ともいえる貴族の暮らしが紹介されています。カーニバルのマスクをつけた絵、ロンギの『香水売り』からその当時の雰囲気が漂ってきます。
繊細なヴェネツィアングラスも展示されています。その技術が外に出ないようにとムラーノ島への強制移住の悲しいお話もあります。
第3章は、「美の殿堂」ヴェネツィア派絵画をはじめとする絵画芸術の紹介です。私のお目当てだったカルパッチョの『二人の貴婦人』は、東京展だけの展示で、とっても残念なことに京都には展示されていませんでした。