芸術系学部の作品展の時期ですね。『京都市立芸術大学』@京都市美術館 にいってきました。
日展の如くあらゆる分野が網羅され、作品数も多いので、昨年も出掛けた経験から、私個人的に気になる分野から観てまわることにしました。
1階受付でパンフを頂いて、二階へ。
「日本画」から入って部屋の並びに沿って観ていきました。
今年もやはり、ぐ、ぐーと引き込まれたのは、『保存修復』の部屋です。日本画の学生さんが模写された力作ばかりです。土台の木目を絹地に写し取られています。剥落かげんから、退色具合や落款までも微にいり、細に入り描きこまれていました。当然のことながら、模写するにあたっては、対象を調べ研究されています。その過程がレポートとして部屋に置かれているので、それもちょっと拝見いたしました。
「ビジュアルデザイン」の部屋では、なんといっても偏光レンズでみる『海底20000里』です。白い硝子の板に描かれた絵が、偏光レンズを通すと虹色に変化していきます。この偏光レンズを回しながら観ると更に色が変化していきます。すごい発想で、これが作品のテーマにもあっています。これには、みなさん感嘆の声が上がっていました。「大学院市長賞」受賞作品です。そのすぐ側にあるシャープペンだけて描いた作品は奨励賞受賞作品です。多分、これがシャープペンだけで描かれたものと気付かない人も多いのではないかと。様々なモチーフが重なり鉛筆だけで濃淡が表されて、明るい所には光があたっているようです。気の遠くなるような緻密な作業をどのくらい続けたのでしょうか。
ご本人の自作への思いは→ http://tsunada.blog.fc2.com/
「デザイン基礎」では、芸大の学生さんが必ずや通る、一枚の厚紙から組み立てる色彩豊かな動物たちをみるのも楽しいですね。完成形をイメージして、一枚の紙を余るところなく切り分けて組み立てるとちゃんと動物、動きのある動物になる、よー出来てます。
今年もやっぱり感心しました。これが出来ない事には、美大は無理なのですね。
「環境デザイン」「ブロダクトデザイン」では、私たちの実際の生活に隣接するもので、毎日の生活にアートを取り込んで愉しくなるような発想の豊かさ柔軟さに興味が深まりました。
二階の最後の部屋は油画です。
ど素人の私から、生意気にも言わせて頂くなら、現在において、学生さんたちが、洋画に目新しさや個性的なものを見つけるのがとても難しい時代なのではないかと感じました。
芸大の展示は、大学や市美術館別館でも開催されており、私はそちらまでは回らなかったのですが、別館は1回生の作品で、学内展では、大掛かりなインスタレーションや修士課程の油画もあり、そちらの油画は良かったとの評判も聞いておりますので、そちらにも期待です。
一階は、陶磁器、漆工、染織の工芸作品群です。
京都という伝統工芸を学ぶにはもってこいの土地柄です。その分、今ある技術力が高すぎてとてもとても…
これから彼らが新しい発想を入れながらも、これまでの伝統を受け継いでいかれることと頼もしくもありました。
『構想設計』と言う部屋がありまして、総合とある通り、こちらは何でもあり、一番今?を感じるかもしれません。
分野が多すぎて、今回なんと彫刻を見逃してしまいました!!
学生さんのご家族は勿論ですが、中高生も多く来ていました。これは、とても良い傾向です。
17日14時からは、市長賞及び大学院市長賞の受賞作品について、学長が作者の学生さんと一緒にギャラリートークが開催されたそうで、聞かれたラッキーな方もいらっしゃることと思います。
会場内では、教授陣が学生さんに論評を行っている場にも出くわせます。
誰でもピカソではないけれど、将来の会田誠やヤノベケンジや束芋などなどの作品には出会えるかもです。