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茶人のあそび心 形物香合番付の世界 @野村美術館

投稿:2013年4月10日

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先にご紹介しました住友コレクションの“泉屋博古館“と共に、南禅寺界隈別荘群の一角にあります「野村美術館」の春季展をご紹介したいと思います。

野村美術館は、南禅寺すぐ近くにあり、美術館の裏手?は広大な「碧雲荘」です。(死ぬまでに一度で良いから拝見したいですね。)野村美術館は、野村財閥の創業者である野村徳七のコレクションをもとにした美術館です。徳七は、得庵と号し、「能楽」と当時のお金持ち同様に「茶の湯」に深く傾倒したそうです。そこでこの度の春季展は、野村美術館開館30周年記念特別展の第一弾は、野村お得意の茶道具です。

「香合」とは、茶の湯で使われる「香」の入れ物の事です。
形物香合というのは、美術館の解説によれば、「型」を使用したもの、あるいは一つのテーマや同趣のデザインで作られた香合の事らしいです。炭手前が成立してからの茶道具の一つとなり、床の間の飾りにもなった蓋物の事です。その多くが、中国の景徳鎮窯や漳州窯、竜泉窯などで作られたもので、元々は違う用途で作られた物だったのでしょう。

安政2年(1855年)に、江戸、名古屋、京都、大阪、金沢の茶道具屋と目利きによって「形物香合番付」が作られ、形物香合が大ブームとなったそうです。面白いですね。当時、相撲人気にあやかって”格付け表”が一枚刷りの情報誌として作成され、流行していたなんて。評価の最も高いのが東西に配された大関で、関脇、小結、前頭、五段目と順に格付けされ、番外はとしての、行司、頭取、勧進元、差添には、塗物や和物の焼物や西洋の香合が掲載されています。横綱はいないのですね。形物香合番付には230点の形物香合が掲載され、展覧会ではその中の約150品が前後期に分けて展示されています。
〈参考〉http://verdure.tyanoyu.net/katamonokougoubanzuke.html

展示されている香合は、意匠も形も色も非常に多岐に渡っております。
文様はやはり吉祥文様が多いようです、が、こんなのも吉祥なの?という新たな発見もあるかもしれません。形の面白さにも目が行きます。キャプションは、とても丁寧です、香合はこんな風に鑑賞するのかという教えになります。用語解説も置かれております。茶道具には不案内な私は、一つ一つ解説を読みながら拝見し、ただただ「ほーっ」の一言です。着物姿のご婦人が多くおいでになっているのは、流石、京都って感じです。ここを訪れる度に楽しみなのが、「茶席飾」です。季節に合わせた茶道具の取り合わせを拝見させて頂きます。まぁ、得庵の茶席に招かれたら…このような茶席だったのかもしれません。

展示品の一つをご紹介。
「宋胡録柿」は、タイの窯で焼かれたもので、柿とありますが、実はマンゴースチンだそうです。柿と見立てる面白さです。中国だけでなく、タイやベトナム、さらにはヨーロッパで作られたものもある多様さとそれを求めた人が多くいたことにも茶道具の奥深さを感じ入りました。

「掌上の玉手箱」と呼ばれるほどに愛された小箱が一堂に会し、「香合」だけの名品を出来る限り集めてみました!!の目にも心にも贅沢な企画展です。
〈参考〉http://members.ctknet.ne.jp/verdure/katamonokougou/
春の京都にふさわしい展覧会ではないでしょうか。

なお、泉屋博古館と野村美術館では、それぞれのチケットを提示しますと観覧料が割引になります。

茶人のあそび心 形物香合番付の世界
 



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