一昨年末の山口華楊に続く関西画壇の大御所展です。
松園というあまりにも偉大な日本画家を母にもち、現代を代表する「花鳥画家」ということは誰もが知っているところですが、初期から晩年までの作品が一堂に会します。
ご本人も偉大な母に葛藤があった事でしょう。母子二代の文化勲章受章だそうで。西山翠嶂に師事したのは、どんな分野もこなせた翠嶂を松園が薦めたようです。戦前は官展系の展覧会を中心に活躍しましたが、戦後官展の後継たる日展の審査員をつとめ、旧態依然とした審査に失望し、脱退、創造美術協会(創画会)を結成、官展にも塾にも依らず発表を続けました。日展への松篁の失望は、現在も変わっていないまま現在に至るでしょうか。
四条円山派の伝統を受け継ぐ"写生"だが、写実とは違うのです。(自分の庭に鶏を飼って徹底して観察し、デッサンを繰り返して出来上がった作品も 若冲の鶏と松篁さんの鶏はまったく違う!) 作品の品格を意識した作品が多く、そこは母松園の画業への姿勢から学んだものでしょう。洗練された花鳥画のスタイルを確立していきます。日本画ならではの、余白や簡略化がみてとれ、装飾的でもあります。今回作品の背景色にも目が行きました、背景の色にも深みがあります。「花鳥画」を次々と観る機会もこれまでなかったので、「花鳥画」は、花鳥の取り合わせと、季節と色彩ですね。松篁さんの作品からは、緊張感が迫りじっと眺めて息を呑む感じでした。
京近美は、コレクション展もとってもいいのです。毎回どんな作品と出合えるのかと楽しみにしています。今回は、松篁の周辺の画家たちでした。勿論、母 松園の作品もありました。そういつもながらに美しく、凛として品がある。師匠の西山翠嶂の作品もありました。松篁さんと一緒に創画会を結成した"秋野不矩"の作品は、私が好きなご長寿女性日本画家(片岡球子・小倉遊亀)のお一人で、やはり力強い作品でした。