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※この記事は掲載時(2015年3月)の情報に基づきます。

特集記事

京都MUSEUM紀行。第二十二回【京都大学総合博物館】

京都ミュージアム紀行 Vol.22 京都大学総合博物館

  • “そこは、京大を覗き見できる「知の宝物庫」。
  • “最新の研究成果にも出会えます。

そこは、京大を覗き見できる「知の宝物庫」。


京都大学総合博物館

京都大学といえば、日本を代表するトップクラスの大学のひとつ。最近も、ノーベル賞を受賞する研究者を輩出するなど世界的にも注目されている教育・研究機関です。その京大キャンパス内にあるミュージアムが、今回ご紹介する「京都大学総合博物館」。そこは、大人から子どもまで、誰でも京大を覗き見できる“知の宝物庫”でした。

実は、日本初の大学ミュージアムなんです。

今では全国各地の大学に博物館や美術館などの展示施設が設けられていますが、実は京都大学総合博物館はその最初、日本で初めて作られた大学ミュージアムです。
今から100年前の1914年、京都大学の前身・京都帝国大学内に竣工した「陳列館」がその始まり。当初は文科大学(後の文学部)の貴重な資料や標本を保存・管理するために作られた施設でした。建物は美しい洋館で、展示室のほか、古文書室や図書室、貴賓室、そして研究室や講演室などの施設も備えていました。先生や学生たちはよく陳列館の地下に集まって議論や雑談などで交流を深めており、大変にぎやかだったとか。また、既に当時から、学外の人も資料を見られるよう陳列館は一般開放が行われていたそうです。
現在も建物はキャンパス内に残されており、当時の雰囲気を今に伝えています。
その後も様々な文系学科の資料が陳列館には集まり、所蔵品は増え続け建物は手狭になっていきました。また、戦後になると建物の老朽化という課題とも向き合わなくてはなりませんでした。しかし、なかなか改築もままらない状況が長く続きました。結局、新しい建物(文学部博物館)が建設されたのは1980年代になってのことでした。
1990年代に入ると、理系分野の資料や標本をまとめて管理・活用しようという機運が高まり、陳列館からの流れを汲む文学部博物館に、技術史系、そして自然史系をあわせた総合博物館が設立されることになりました。2001年に文学部博物館の南側に新しい建物が完成。現在では総面積・展示面積共に日本最大級の大学ミュージアムとなっています。



取材時に開催されていた企画展「学問の礎を受け継ぐ」では、博物館の前身となった陳列館建設時の資料なども展示されていました。成り立ちに関する資料も大切に保管されています。

歴史に美術に標本、実験器具まで。文系さんも理系さんも楽しめます。

京都大学総合博物館が所蔵している学術標本資料は、その数260万点。博物館では、「文化史系」「自然史系」「技術史系」の3つの分野の常設展と、年数回の企画展を通じて、学内で行われる最新の研究を学術資料とともに公開しています。ひとつの施設でここまで幅広い分野を一堂に展示・公開している施設は他にありません。 また、スタッフや研究者も、さまざまな分野の人が同時に在籍しており、博物館を通じて異分野の研究者がつながることも多いそうです。分野を越えて人が集まり新たな知を創造するミュージアム、これこそが「総合」を冠している所以です。


展示室内に設けられた「ミューズラボ」では研究者による講演やワークショップなども行われます。


取材時に開催されていた特別展「地の宝」では、鉱物資料を特集。特別展・企画展では普段見られない資料も登場することもあるので、要チェックです。

この他にも、野生のチンパンジーたちの生活を記録した映像データベースなどもあります。子どもたちの遊びや道具の使い方など、表情豊かなチンパンジーたちの世界を覗き見した気分になれます。

自然史

建物に入って右手側にあるのは自然史系のゾーン。地震の仕組みを紹介する地層標本や、ナウマンゾウなど古代の生き物の化石、サルなど霊長類の研究、森の動植物、そしてさまざまな昆虫の標本などを展示しています。

★ チンパンジーの知能測定実験体験

京都大学の研究のなかでも人間に最も近い動物、サルたちを対象にした霊長類学は、京都大学が生み出した分野ともいわれるほど、世界的に有名です。京都大学総合博物館では、その象徴的存在で、テレビや雑誌などでも有名になった天才チンパンジー「アイ」が、実際に京都大学霊長類研究所で行っていた実験を体験することができます。画面に一瞬表示される数字の位置を覚えて順番にタッチしていくというシンプルな記憶ゲームなのですが、これがなかなか難しい。これをこなしていたアイのすごさを実感します。ぜひ、アイに挑戦してみてはいかがでしょうか。


周囲に張り巡らされているのは、高い木の上に暮らす生き物たちを観察するために造られた櫓と空中回廊。実際に現地でもこのようなものが作られていたそうです。木の上には鳥の姿も!

★ ランビルの森

自然史系ゾーン一番の見どころは、吹き抜けのエリア「ランビルの森」。ここでは熱帯雨林の風景がほぼ実物大のジオラマで再現されており、生物多様性や生き物たちの共生といった熱帯雨林の自然についての研究を紹介。研究者がどのような方法で現地調査を行ったのか、どんな生き物が住んでいるのか、などを実際にジャングルの中に足を踏み入れたかのような感覚で知ることができます。また、一定時間ごとに周囲にはスコールの音や、風で葉がこすれる音、鳥の声が聞こえてきます。これは、実際に調査を行ったマレーシアの森で録音してきたという、「自然のBGM」。ちょっとした森林浴気分も味わえるので、ここでしばしのんびりするのもお勧めです。

★ モグラのトイレから生えるきのこ

自然史系ゾーンの奥にあるモグラの巣の標本。なぜか横からきのこが生えています。これは、モグラの巣の近くにだけ生えてくる不思議なきのこ「モグラセッチンダケ」。相良直彦さん(京都大学名誉教授)の研究成果の紹介です。相良さんはこのきのこがモグラの排泄物から生えているをつきとめ、モグラと共生関係にあることを世界で初めて発見しました。こんなユニークな研究もあるのか!と驚かされます。小さなところを丁寧に見つめることの大切さを教えてくれる展示です。

★ 昆虫標本群

自然史ゾーンの2階展示室にずらりと並ぶ大量の箱。これは全て昆虫標本!日本はもちろん、世界のいろいろな地域から集められた虫たちです。子どもたちが大好きなカブトムシやクワガタ、美しい蝶のほか、フンコロガシなどのユニークな虫、そして虫眼鏡で見なければわからないほどの小さなアリたちまで、ひとつひとつ丁寧に分類されています。研究者の地道な努力が伝わってきます。

文化史・技術史

左手側は文化史系ゾーンです。
1階にあるのは考古学展示室。入口付近には巨大な石棺がずらりと並んでいますが、これらは全て遺跡から出土した本物!重要文化財指定を受けているものもありますが、ガラスケースもなく、直接かつ間近に鑑賞することができます。この他にも、土器や青銅器、埴輪といった品も多数展示されており、こちらも多くは実際に遺跡から見つかった現物です。特に、稲作の歴史を今に伝える木製の農具などは、現存する品が少ないため、他ではなかなか出会えない貴重なものです。写真や映像からはなかなか伝わらない、本物だからこその迫力を感じることができます。

2階には、古文書や地図など日本史や京都に関する資料と技術史関連の資料を展示。
古文書などの紙資料は非常にデリケートなため、保存の観点からレプリカの展示も多く行われていますが、そのレプリカも非常に精巧。現物とほぼ変わりありません。織田信長や豊臣秀吉の残した書状、特大の江戸時代の京都地図が見られます。

技術史関連の資料は、昔の貴重な実験器具類などが中心。真鍮などでできた実験器具たちは、ひとつひとつがまるで芸術作品のようです。実際に器具を動かすこともできます。
もちろん、展示されているのは収蔵品のほんの一部。この他のさまざまな資料や教材類は、地下にある収蔵庫で大切に保管されています。

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京都工芸繊維大学 美術工芸資料館

所在地

〒606-8501
京都市左京区吉田本町

開館時間

9:30~16:30(入館は16:00まで)

休館日

月・火曜日
創立記念日(6/18)
夏季一斉休業日(8月第3週の水曜日)
年末年始(12/28~1/4)

お問い合わせ

電話番号:075-753-3272

FAX:075-753-3277

公式サイト

http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/

■料金

一般:400円(団体:300円)
高校・大学生:300円(200円)
小・中学生:200円(100円)

■交通のご案内

【京阪電鉄】
「出町柳」駅下車、徒歩15分
(今出川通を東へ進み、百万遍の交差点を南に向かってすぐ)

【京都市バス】
3,17,31,201,203,206系統にて、「百万遍」で下車、徒歩約2分

※駐車場はありませんので、公共交通機関をご利用ください。

■その他注意事項など

※団体は20名以上(20名につき引率者1名無料)
※70歳以上の方・障害をお持ちの方は無料
※車椅子での見学:可
※授業での見学など、学校教育を目的とする観覧者(小中学校の生徒は当該学校教師の引率が必要)は入場無料です。事前申請が必要となりますので来館一週間前までに、申請書(ホームページよりダウンロード)を郵送願います。




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