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特集記事

京遊×橋本関雪記念館 白沙村荘の庭から 第一回

京遊×橋本関雪記念館 白沙村荘の庭から 第一回 京都市左京区白沙村荘橋本関雪記念館

京都には大小さまざまなミュージアムがありますが、その中には現在も人が暮らしている家の一部をそのまま公開しているようなところもあります。そんなミュージアムのひとつが、日本画家・橋本関雪の建てた邸宅である白沙村荘 橋本関雪記念館。その副館長で関雪の曾孫である橋本眞次様に、普段はちょっと分からない、美術館での日々を徒然と綴っていただくコラムです。

美術館で暮らす、ということ。

玄関先を掃き清め、水を打つと朝の光に水滴が輝きます。 門を開いた後に玄関の花にご機嫌伺いをしながら建物内を巡り、戸を開けて朝の清々しい空気を室内に取り入れていきます。 そうして通路を掃きながら客人を待ちます。

私の曾祖父にあたる橋本関雪という人物も、白沙村荘という庭園もあまり知られている部類のものではありませんので、まずは客人によく知ってもらう事から入らなければいけません。 なので時折庭を回っては客を見つけては話をします。 興味深く聞いてもらっているような時はつい話が長くなりますから、出来るだけ気をつけながら一緒に庭を回り最後に作品の説明をします。 訪れた客人が喜び、白沙村荘の庭を誉める事は自身を誉められるように嬉しい事です。 そういった日々の喜びこそが個人美術館というものを支える一番の力ではないでしょうか。

白沙村荘北門

「この素晴らしい空間を後世に引き継いでいきたい。 そう思いながら毎日この庭と向かい合っています。」

そうして説明をしている時に「こちらの橋本です」という自己紹介をすることもあります。 その際に多いのは「お住まいなんですか?」という質問。 「ハイ、そうです」と返すと大体は驚かれますが、京都にある個人美術館では一部を公開部分として残りを個人の居宅とする形態を数多く見る事が出来ます。

各美術館ごとに担う文化の形は様々ではありますが、共通しているのはそこに遺された文化を後世に存続していきたいという思い。
特にその場所が生家である場合が多いので、多少無理があってもその方法をとらざるを得ない訳です。遺していく過程での様々な語られない思いもあることでしょう。
そういったジレンマは私の場合、白沙村荘の庭を見る事で霧散してしまいます。
この素晴らしい空間を後世に引き継いでいきたい。 そう思いながら毎日この庭と向かい合っています。

施設情報

白沙村荘(橋本関雪記念館)
京都市左京区浄土寺石橋町37
公式ホームページ

施設の概要はこちら

著者プロフィール

橋本眞次(はしもと・しんじ)
1973年、京都生まれ。
大正・昭和にかけて活躍した日本画家、橋本関雪の曾孫にあたる。
23歳の頃、関雪に興味を持ち父の仕事を手伝いながら資料編纂などに携わる。
現在は白沙村荘 橋本関雪記念館の副館長として活動中。

公式ブログ「京都の庭ブログ」はこちら↓
http://hakusasonso.kyo2.jp/

「白沙村荘の庭から」過去のコラム


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