“I enjoyed so much with my friend at this lakeside museum.”
とっても楽しい一日でした。
クルマでのひさびさの遠出でもありました。
黒壁三十號 長浜アートセンター
栄光の時代の美の遺産 愛のヴィクトリアンジュエリー展 Part2
2014年4月23日[水]~9月23日[火]
「京都で遊ぼうART」なのに、なぜ滋賀の長浜に?
この長浜に来るきっかけが、以前の偶然の出会いにありました。
「京都 残照 蟻地獄」 穐葉誠一写真展
この京都寺町のギャラリーでの個展で知己を得た穐葉誠一氏とご夫人昭江さんと楽しいギャラリートークをしていて、ボクが
「あっちこっちの美術館やギャラリーを訪れ、アートレポートを書いています」
とお伝えすると、
「それじゃ、是非ともこれをどうぞ」
と穐葉夫人から、長浜アートセンターで開催されている展覧会の優待チケットとそのチラシをいただいたのです。
(愛のビィクトリアンジュエリー展のチラシ)
「うわ~…なんて美しい…」
チラシの写真を見ただけなのに、その美しさに言葉を失いました。
これは絶対見に行かねば!
京都じゃなくて滋賀・長浜だけど、京都のギャラリーからの縁ということで、
ちょっと強引かもしれないけど、是非ともレポートを書きたいと思いました。
長浜アートセンターの2階には、それは魅力的な光を放つ、アンティークジュエリーが展示されていました。
それらの撮影はできませんが、長浜アートセンターの売店で購入した、
「穐葉美術館図録」
からそれらをいくつかご紹介しましょう。
もちろんこれら以外にも、すばらしいジュエリーが多数展示されています。
ピンクトパーズ&ゴールドスウィート
(ペンダント・ネックレス・ブローチ・ブレスレット・イヤリング・ローズ)
イギリス 1830年頃
宝石の輝きもさることながら、それらを取り巻く金細工の細やかさのすばらしいこと。
アカンサス葉模様の打ち出し細工、粒金細工と当時の高度な技術を駆使して作られています。
「その当時のイギリス王朝の絶大な権力と、重厚な職人制度を持つ稀有な時代だからこそ、このようなジュエリーが生まれることができたのです」
京都寺町のギャラリーでの穐葉誠一氏の言葉を思い出します。
シードパールティアラ
イギリス 19世紀初期
透明感を感じさせる白…限りなく純粋。
これはイングランドのバラ・スコットランドのアザミ・アイルランドのシャムロックの三つの国の花をモチーフとしたティアラです。
1 ジェットカメオブローチ「ゼウス」
2 ジェットネックレス
イギリス 1870年頃
白と黒。その対極の色彩にも輝ける美しさがあります。
ジェットとは、流木の化石化したもの。
化石になるにはもちろん数万年十数万年と気の遠くなるような地球的時間が必要です。
それが地下から地上に出てきて、ひとを魅了する。
その悠久の時間が根底にあるからでしょうか、黒き輝きに、魂が惹きこまれます。
古代ローマ人によって、「黒い琥珀」と呼ばれる輝きに。
ハードストーンカメオ&エナメルペンダント(ゴールド)
カメオ:ルイジ・イスラー作 イタリア 19世紀初期
フレーム:カルロ・ジュリアーノ作 イギリス 1870年頃
モチーフに、ギリシャの英雄・アキレスが描かれ、フレームにエナメル細工が施されています。
ブルーエナメル&ゴールドネックレス(ダイアモンド、パール)
〈ジョン・ジョルダン コレクション〉
イギリス 1865‐1870年頃
今回の展覧会の一番の目的の作品。
ロイヤルブルーのエナメルハートとブラジリアンチェーンのコントラストが美しい。
ハート型のペンダントもさることながら、滑らかな流線型をもつブラジリアンチェーンにとても惹かれます、その、チェーンのつなぎ目に。
あたかも地を這う蛇の腹鱗を連想させ、と同時に毒を持つ蛇の強さをも身に纏わせるかのように。
「これらがすべて、19世紀の職人たちによって作られたとは…」
古代においては呪術的魔力を身につけさせると考えられていたジュエリーは、いつの時代になってもその魔力をひとびとに纏わせる…あたかも見えないオーラをもって。
そして、今回のアンティークジュエリーを鑑賞してみて、改めて人類の歴史の深さを実感しました。
美を追求する飽くなき欲望・姿勢・情熱が、極東の島国から遠く離れたユーラシア大陸の西端の島国に花開いた時代があったと、感慨深く思えたのです。
「ほわぁ~…堪能した~…」
こころもあたまも美しいジュエリーによって満腹になって、通りに出てみればそこは、
「北国街道」
と呼ばれる道で、その雰囲気を感じさせる上の写真のような風景に包まれています。
輝けるジュエリーの美と、侘び寂びを感じさせる木の町屋。
長浜はいい町です。
※アカンサス葉模様 アカンサスとは、地中海沿岸に繁殖する鋸歯状の2年草。再生の象徴としてギリシャ美術の装飾として用いられる。
粒金細工 微細な金の粒を土台となる薄い金の板の上にろう付けして、様々な形状の装飾を施したもの。
中里楓です。「京都をもっと好きになる!」「アートが好き!」「カフェが好き!」この3つのコンセプトをもとに京都の魅力を探し歩いてます。時空的にも空間的にも京都にはひとを惹きつけるものがいっぱい。そんな京都的小宇宙を精いっぱいご紹介します。