※この記事は掲載時(2013年8月)の情報に基づきます。
京都MUSEUM紀行。第十五回【京都万華鏡ミュージアム】
ハンドルを手回しするタイプの大型万華鏡。中を覗くとまるで花のような映像が広がっています。
万華鏡にとって特に重要なのは内部の鏡の組み方で、ここで覗いたときの模様のパターンが決まってきます。何枚の鏡をどのように組み合わせるか、どの角度で固定するかが模様の変化を左右するそうです。
一方で、外観については特に決まりや制限はありません。展示室にある作品も、オーソドックスな筒型タイプはもちろん、円盤やガラス球を回転させて楽しむもの、アンティーク風、電動式の巨大なものなど実に様々で、見ていて全く飽きさせません。なかには一見どう見ても万華鏡には見えない超個性派もあり、ユニークなものが揃っています。
展示室にはボランティアスタッフさんが常駐しているので、操作方法やより美しく見る方法などを丁寧に解説してくださいます。
筒の先の取り付けられたステンドグラスのようなフレームをまわして楽しむ万華鏡。外観の形もアーティスティック。
木製の万華鏡。横の蟹も万華鏡です。お尻の部分に小さな覗き穴があり、はさみの間にあるガラス球を回して使います。
「オイルワンド型」と呼ばれる万華鏡の一種。ガラス棒の中に液体が入っており、逆さにして落ちていく様子を筒状の鏡から覗きます。
舞妓さんの万華鏡「舞妓2003」
京都万華鏡ミュージアムの目玉展示品のひとつが、舞妓さん型の万華鏡です。日本を代表する万華鏡作家のひとり・山見浩司さんによるもので、2003年には世界最大の万華鏡のコンテスト「ブリュースター・カレイドスコープ・ソサイエティ」でグランプリを受賞した記念すべき作品でもあります。一見するとガラス片を組み合わせた舞妓さんの胸像で、万華鏡には見えません。覗き穴は頭部に隠されており、下を覗き込むようにしながら、髪留めをくるくると回転させると、幻想的な世界が眼前に広がります。
舞妓さんといえば季節を感じさせる花簪がトレードマークですが、この万華鏡の舞妓さんも、季節ごとに花簪を変えているそうです。また、ケースの回りには千社札が何枚か貼られていますが、これは見学に来た本物の舞妓さんたちが貼っていったものです。
京都らしい万華鏡
展示室には、舞妓さんの万華鏡の他にも「京都」らしさを生かした特殊な万華鏡が展示されています。例えば、見た目はどう見ても嵐山の渡月橋や寺の石庭といった京都の名所を再現したジオラマなのですが、ところどころにあけられた穴を覗くと…万華鏡の形にとらわれない自由さを実感できます。
暁光
縄文の夢
また、2種類ある壷型の万華鏡「暁光」「縄文の夢」は、京都の陶芸家・小川文斎さんと、万華鏡作家の山見浩司さんと中里保子さんとのコラボレーションによるもの。「暁光」は高さが約1メートルもあり、このサイズで陶製の万華鏡は世界でも大変珍しいものなのだそうです。
壷の中を覗きこむと、内部にはまるで球体が闇の中に浮かんでいるような美しい光景が広がっています。京焼の中に閉じ込めた別の世界を覗き込んでいるような、不思議な感覚が味わえます。
投影式万華鏡
展示室では、1時間に1回(5分間)のペースで、「投影式万華鏡」の投影が行われます。これは、展示室自体を万華鏡の内部に見立て、別の場所にある万華鏡の内部映像を室内全体に映し出す、というもの。万華鏡を使った空間芸術ともいえます。この作品は日本人万華鏡作家の依田満・百合子さん夫妻によるもので、後に出展した国際展では他にないユニークな作品として世界的にも高い評価を受けた目玉展示です。
もちろんこちらで投影される映像も、他の万華鏡と同じくその時だけにしか出会えないものです。天井や壁、床など部屋全体万華鏡の映像に包まれた空間は、自分が万華鏡の中に入っているような感覚を体感できます。万華鏡の操作が自分で出来ない小さいお子さんでも楽しめるところもポイントです。
「見る」だけではない、作って、楽しんで癒される“都会のオアシス”
万華鏡制作キットはショップで販売されています。お土産にすることもできます。
万華鏡ミュージアムでは、作品の展示だけでなく、ワークショップにも力が入れられています。自分でオリジナルの万華鏡を制作できる手作り教室は、毎日随時開催されています。簡単なキットを使用しているので、その場で誰でも気軽に参加できます。
万華鏡の仕組みも、実際に自分で制作してみるとわかりやすく、展示室で見た作品についてもより深く理解することができます。自分の好きなビーズやキラキラ輝くスパンコールなどを選んで入れていく作業は、大人も童心に還ってしまいます。
より本格的なものに挑戦してみたい!という方向けには、作品が収蔵されている万華鏡作家による制作講座(予約制)も月1,2回程度のペースで開催されています。また、夏休みなど長期休暇の時期には子ども向けの体験教室も企画されているなど、子ども向けのイベントも積極的に開催されています。実際、休日には親子で訪れるという方も多いのだそうです。
この他にも、隣接するギャラリースペースでは、万華鏡内部の模様が刻々と変化する映像を部屋全体に投影するインスタレーション展示「万華鏡ファンタジー」が行われています。座席も用意されており、休憩がてらのんびりと座って鑑賞することができます。
実は入口横のモザイク模様の柱も万華鏡。
「京都の中心部からすぐの場所ですし、散歩の途中にも気軽に立ち寄っていただければと思います。構えずに、”都会のオアシス”的場所として利用して頂ければ嬉しいですね」と野田さんは仰っていました。
場所は地下鉄の駅からすぐというアクセスながら、周辺は都会の真ん中とは思えない落ち着いた雰囲気です。京都の町歩き中のひと時にでも、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
(取材にあたっては、NPO法人京都万華鏡こう房理事長の浦上様、ミュージアム広報の野田様、山口様をはじめスタッフの皆様にご協力を頂きました。この場を借りて御礼を申し上げます)
京都万華鏡ミュージアム
所在地
〒604-8184
京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706-3
開館時間
10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、年末年始
お問い合わせ
TEL:075-254-7902
FAX:075-254-7902
公式サイト
■料金
【万華鏡展示ルーム】一般:300円 小中学生:200円
■交通のご案内
【地下鉄】烏丸線・東西線「烏丸御池」駅下車、3番出口より徒歩約3分
【市バス】「烏丸御池駅」下車、徒歩3分
※お車の場合は、隣接する「こども相談センターパトナ」の
駐車場をご利用ください(有料)
京都MUSEUM紀行。アーカイブ
- 京都MUSEUM紀行。第一回【何必館・京都現代美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第二回【河井寛次郎記念館】
- 京都MUSEUM紀行。第三回【駒井家住宅】
- 京都MUSEUM紀行。第四回【龍谷ミュージアム】
- 京都MUSEUM紀行。第五回【時雨殿】
- 京都MUSEUM紀行。第六回【京都陶磁器会館】
- 京都MUSEUM紀行。第七回【学校歴史博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第八回【幕末維新ミュージアム 霊山歴史館】
- 京都MUSEUM紀行。第九回【新島旧邸】
- 京都MUSEUM紀行。第十回【元離宮二条城】
- 京都MUSEUM紀行。第十一回【半兵衛麩・弁当箱博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第十二回【京菓子資料館】
- 京都MUSEUM紀行。第十三回【木戸孝允旧邸・達磨堂】
- 京都MUSEUM紀行。第十四回【京都清宗根付館】
- 京都MUSEUM紀行。第十五回【京都万華鏡ミュージアム】
- 京都MUSEUM紀行。第十六回【京都府立堂本印象美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第十七回【相国寺承天閣美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第十八回【細見美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第十九回【清水三年坂美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第二十回【千總ギャラリー】
- 京都MUSEUM紀行。第二十一回【京都国立博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第二十二回【京都大学総合博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第二十三回【京都工芸繊維大学 美術工芸資料館】
- 京都MUSEUM紀行。【建勲神社】
- 京都MUSEUM紀行。第二十四回【二条陣屋】
- 京都MUSEUM紀行。Special【京都市美術館 リニューアル特集】