※この記事は掲載時(2018年11月)の情報に基づきます。
京都MUSEUM紀行。Special【京都市美術館 リニューアル特集】
2019年度中のオープンに向けて、リニューアル工事(2018年1月着工、2019年10月竣工予定)を行っている京都市美術館。
これまでも京都の主要なミュージアムとして親しまれてきた京都市美術館ですが、リニューアルに伴いより新たな姿に生まれ変わろうとしています。
今回は実際にリニューアル工事が行われている現場を見学させていただいた際の様子をご紹介します。工事中の現場の様子が見られる貴重な写真とあわせて、どの箇所がどのように変わるのか、イメージしながらご覧ください!
※画像・解説内容は取材時(2018年9月末)のものです
正面エントランス・
京セラスクエア
京都市美術館の入口といえば、金色の豪奢な装飾が施された重厚な扉が印象的でしたが、リニューアル後は地下に新たな入口・正面エントランスが設けられます。
取材時は玄関部分と正面広場(京セラスクエア)の地面を3mほど掘り下げ、基礎と足場を設置した状態。正面から見ると、まるで美術館の建物が宙に浮いているように見えますね!実際に完成後も地下通路とエントランスはガラス張りの仕様になるので、正面から建物を見るとそのような感じに見えるかもしれません。
広場(京セラスクエア)は南北からエントランス方向へと低くなっていくスロープになり、自然とエントランスへ誘導される設計になります。仮に混雑して長い行列が出来ても一部は館内に待機場所が確保されるので、ストレスも軽減される計算。また、地下通路内には若手作家の作品を展示するギャラリーも設けられるので、待ち時間の間に作品を鑑賞するという楽しみ方もできそうです。
中庭エリア
京都市美術館の建物は中心の中央ホール(旧大陳列室)を挟んで南北に「ロの字型」に展示室が配されており、ちょうど「ロの字」の真ん中にそれぞれ中庭があります。しかし、これまでは非公開となっていたため、存在を知らない方も多いかもしれません。取材時は青銅色になっている排水管などに京都市美術館が建てられた昭和初期の面影を見ることができました。窓も展示室側からは壁で塞がれていて目にする機会がなかったので、実はこんなに沢山あったことに驚かされます。
取材で見学させていただいた南側の中庭は屋外スペースとして、常設展示室から自由に出入りできる「天の中庭」として整備される予定。もう一方の北側の中庭は「光の広間」としてガラス屋根を設置した屋内多目的スペースにリニューアルされます。
本館南(南回廊)・
展示室等
こちらの写真は常設展示室となる南側の回廊。床下が掘られているのは配管設備などの工事のためです。壁も塗装や後から追加された内壁などが一旦剥がされており、美術館建設当時の壁や大きな窓が見えるようになっていました。今まで塞がれていた窓から光が多分に差し込むので、明かりが付いていなくても明るく感じられました。当初は外光を取り入れ回廊を明るく保つ設計になっていたことがわかります。
また、よく見ると壁の一部にはなにやら書き込みもあります。
これは美術館の建設当時の作業員さんが書き残したものだそうで、壁のコンクリートの寸法や作業予定日のほか、スローガンのようなものも。約85年の時を越えたこれらは工事期間中だけ見られるタイムカプセルのようです。
なお、リニューアル後は常設展示室で、京都市美術館が所蔵する近代日本画や工芸品などのコレクションを通年で見ることができるようになります。
リニューアル後は休憩スペースとなる2階東側の一室には、大きな窓が顔を出していて、京都市動物園や東山の山並を望むことができました。壁面の石壁が目を引きます。天井や梁に施された細やかな装飾もよく見えます。このデザインは昭和初期の歴史的建造物である京都市美術館ならではのポイントです。このような建物装飾はリニューアル後も活かされるそうなので、訪れた際には注目してみてはいかがでしょうか。
中央ホール
(旧大陳列室)
京都市美術館で一番大きなスペースだった中央吹き抜けの旧大陳列室。洋館風のデザインと相まって、まるで教会を思わせるような空間が広がっていました。
リニューアル後は、展示室としてではなく南北の各展示室や東側に新設される新館(東山キューブ)の展示室、美術館裏にある日本庭園などを繋ぐ、出入り自由(無料開放)のホールとなる予定です。写真で足場が建てられているところには二階の展示室から移動できる通路が設けられます。
また、地下の正面エントランスから上がるとこの中央ホールに出ることになるため、視界が開けるとそこには明るく広い空間になるという演出効果もあります。美術館に来たぞ!という気分が盛り上がること間違いなし!
東山キューブ(新館)・
バックヤード
最後に東側から外に出てみると、美術館北側の地面が大きく掘り下げられ、新設される東山キューブ(新館)の基礎工事や鉄骨が入れられていました。東山キューブはリニューアル後、1階に現代アート向けの展示室ができるほか、地下には収蔵庫が誕生。今後の作品収集強化にあわせて、バックヤードも増強されます!
基本的に既存の建物の雰囲気や庭園・疏水を含めた景観を保全できるよう、増設部分はガラス張りなど景色に溶け込むようなデザインで設計されています。散歩がてら立ち寄れる岡崎公園内の憩いの場になりそうです。
今まで見られなかった京都市美術館の素顔や、着々と進んでいるリニューアル工事の様子に、ワクワクが募る取材でした。京都ならではのレトロとモダンが融合したミュージアムとして生まれ変わろうとしている京都市美術館、再オープンの日が楽しみです!
※取材に当たっては京都市美術館総務課課長補佐の葉山様をはじめスタッフの皆さまに多大なご協力を賜りました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
京都市美術館
所在地
〒606-8344
京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内)
開館時間
9:00〜17:00(入館は16:30まで)
再整備のため本館閉館中(別館のみ開館)
休館日
※2019年度中リニューアルオープン予定
お問い合わせ
電話番号:075-771-4107
FAX:075-761-0444
E-Mail:bijutsukan@city.kyoto.lg.jp
公式サイト
■料金
特別展・企画展:展覧会によって異なる
■交通のご案内
【JR・近鉄】
「京都」駅より
市バス 5、100、110系統にて「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
【阪急電車】
「烏丸」駅・「河原町」駅より
市バス32系統にて「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車すぐ
市バス5、46系統にて「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
【京阪電鉄】
「三条」駅より
市バス5系統にて「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
「祇園四条」駅より
市バス46系統にて「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
【京都市バス】
5、32、46、100、110系統にて「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
201、202、203、206系統にて「東山二条・岡崎公園口」下車、徒歩約5分
【京都市営地下鉄】
東西線「東山」駅下車、徒歩約5分
【【自動車をご利用の方】
大阪方面より:名神高速道路京都南I.C 下車 市内へ約10km
名古屋方面より:名神高速道路京都東I.C 下車 市内へ約7km
※ 専用駐車場は無し(二輪・自転車用駐輪場は有ります)お車の方は、岡崎公園駐車場をご利用下さい。
電話:075-761-9617(1時間まで500円、以後30分毎200円)
京都MUSEUM紀行。アーカイブ
- 京都MUSEUM紀行。第一回【何必館・京都現代美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第二回【河井寛次郎記念館】
- 京都MUSEUM紀行。第三回【駒井家住宅】
- 京都MUSEUM紀行。第四回【龍谷ミュージアム】
- 京都MUSEUM紀行。第五回【時雨殿】
- 京都MUSEUM紀行。第六回【京都陶磁器会館】
- 京都MUSEUM紀行。第七回【学校歴史博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第八回【幕末維新ミュージアム 霊山歴史館】
- 京都MUSEUM紀行。第九回【新島旧邸】
- 京都MUSEUM紀行。第十回【元離宮二条城】
- 京都MUSEUM紀行。第十一回【半兵衛麩・弁当箱博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第十二回【京菓子資料館】
- 京都MUSEUM紀行。第十三回【木戸孝允旧邸・達磨堂】
- 京都MUSEUM紀行。第十四回【京都清宗根付館】
- 京都MUSEUM紀行。第十五回【京都万華鏡ミュージアム】
- 京都MUSEUM紀行。第十六回【京都府立堂本印象美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第十七回【相国寺承天閣美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第十八回【細見美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第十九回【清水三年坂美術館】
- 京都MUSEUM紀行。第二十回【千總ギャラリー】
- 京都MUSEUM紀行。第二十一回【京都国立博物館】
- 京都MUSEUM紀行。第二十二回【京都大学総合博物館】
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